研究課題/領域番号 |
26380523
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
澤田 直宏 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (00457847)
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研究分担者 |
浅川 和宏 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (50276424)
中村 洋 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (60286656)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オープン・イノベーション / 研究開発 |
研究実績の概要 |
本研究では企業の研究開発活動に焦点を絞り,企業内での研究開発活動および外部からの情報獲得活動(いわゆるオープン・イノベーション),内外の知識を統合する機能(例えば組織横断的な委員会等)が戦略的提携におけるパートナー選択の能力に与える直接効果および間接効果について調査を行った.本研究ではアンケート調査表に基づくデータおよび公開情報である企業財務情報・特許獲得数等を用いて統計分析により検証を行った. 研究結果は以下のとおりである.①企業内での研究開発活動は直接的に戦略的提携におけるパートナー選択の能力を向上させる.②企業による外部からの情報獲得活動においても直接的に戦略的提携におけるパートナー選択の能力を向上させる.③内外の様々な研究開発における知識を統合するための機能も直接的に戦略的提携におけるパートナー選択の能力を向上させる.④しかしながら,外部からの情報獲得活動と知識統合機能の両方の充実を図った場合,戦略的提携におけるパートナー選択の能力は却って低下することが判明した. ①②③については先行研究どおりの結果となったものの④については先行研究と異なる結果となった.理由としては,外部からの情報獲得活動および知識統合機能の両方を実行した場合,研究開発担当者は企業内外での打ち合わせ・会議時間に忙殺されることになる.このため却って生産性が低下したものと考えられる.このように一見すると妥当な選択と思われる経営施策が組み合わされた場合に却ってネガティブな影響が生じることを示したことが本研究の貢献点である.以上の結果は戦略的提携といわゆるオープン・イノベーション研究に関する既存研究を前進させるものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では新たに入手したアンケート調査票に基づくデータも加えた上で調査分析を行う予定であった.しかしながら,2015年5月に実施したアンケート調査の回収率が低く,統計分析において十分なサンプル数を集めることができなかった.このため2015年11月に改めて追加アンケートを実施することで必要なサンプル数を確保した.追加アンケートを実施したことに伴い,データ入手までの時間がかかったため進捗が遅れることになった.
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今後の研究の推進方策 |
上述のとおり2回のアンケートを行った結果,前年度中に必要なアンケート・データの収集が完了した.前年度~今年度前半では同アンケート・データを公開データ(企業財務データおよび特許データ)と結びつけることでデータベースを完成させる.年度中盤にかけて統計分析を実施し,次年度における研究発表および論文投稿につなげる計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年5月にアンケートを実施したものの,統計分析上必要なサンプル数が集まらなかったため,追加アンケートを実施した.これに伴い予算不足となったため次年度予算のうち40万円を前倒申請を行った.前倒申請した予算のうち一部が未使用となったため翌年度に繰越を行った.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は繰越予算および本年度交付予算を用いて学会発表の渡航費および投稿論文の英文エディティング等に支出予定である.
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