研究課題/領域番号 |
26380529
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
今井 雅和 専修大学, 経営学部, 教授 (80305391)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 企業者行動 / 立地資産 / ビジネス制度 / 組織能力 / 独自戦略 / ドメイン探索 |
研究実績の概要 |
本研究の対象である「比較劣位優良企業」というのは,比較劣位産業にあって例外的に優れた経営成果を上げている優良企業である。なぜ,そうした企業が存続し,高い競争力を保持しているのかを,明らかにすることが本研究の目的である。初年度と2年目はフレームワーク作りと事例に基づく実証研究を重ねてきた。 3年目の本年度は調査研究を加速するとともに,研究成果の公表に力を入れてきた。インタビュー調査は中国へ2回,ロシア,そして国内では広島で実施した。また,他の研究プロジェクトに合わせ,タイやラオスなど東南アジアでも,本研究に関する調査を行った。 新興市場における多国籍企業のビジネス活動と経済発展に関して著した単著では,新興市場で比較劣位優良企業が誕生することの困難さとそれにもかかわらずそうした企業が独自の経営戦略と優れた組織能力を発揮していることを明らかにした。 ラオスにおける日本企業の農業生産と台湾の自転車・部品メーカーはこれまで積み重ねてきた調査実績を取りまとめる形で論文を発表した。比較劣位とされる日本の農業へのヒントと「衰退」産業を復活させ,付加価値の異なる高次元へ移行させるために必要な企業者行動の本質について明らかにした。 そして,本研究の目的と到達点を明らかするため,フレームワークの精緻化を図った。同時に,これまでの事例研究を集約し,比較劣位の環境下,企業がどうすれば存在感のある事業を育て,維持できるのかについて提言した。 また,ロシアのサンクトペテルブルグ大学では本研究に関する研究発表を行い,研究者と活発な議論を行った。また,ロシアでの調査を深化させるため,ロシア人研究者と共同研究を実施することで合意した。他方,国内では国際ビジネス研究学会でも同様に論文発表を行い,国際ビジネス研究者と活発に議論し,今後の研究の方向性についての示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画との対比ではおおよそ順調に調査研究および研究成果の発表は進んでいる。 しかし,ロシアでの「比較劣位優良企業」探索と調査がやや遅れ気味で,ロシア人研究者との連携に時間を要したため,調査が次年度にずれ込んだ。 また,国際学会での発表についても,校務が多数発生したことと,他の研究テーマとのバランスを図るため,次年度に繰り越された。
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今後の研究の推進方策 |
ロシアでの調査は比較劣位優良企業の代表である,ノキアンタイヤおよびグロリア・ジーンズについて,経営環境が厳しさを増す中で,特長ある経営戦略をどのように進化させ,それを実現するための組織能力をどのように磨いてきたかを明らかにする。 ロシアでの調査を含め,これまでのフレームワーク作りと事例研究の積み重ねを踏まえ,国際会議で論文発表すべく,準備中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ロシアでの調査のタイミングが少し遅れ,一部調査が次年度に繰り越されたことが,次年度使用額が生じたもっとも大きな原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の早いタイミングで調査を実施するとともに,ロシアでの国際学会での論文発表を行う予定である。
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