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2016 年度 実施状況報告書

中小企業経営者による戦略形成とビジョン伝達方略の地域間比較分析

研究課題

研究課題/領域番号 26380530
研究機関玉川大学

研究代表者

芦沢 成光  玉川大学, 経営学部, 教授 (20184161)

研究分担者 飯村 龍一  玉川大学, 経営学部, 教授 (80266246)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード戦略立案 / アナロジーによる推論 / アブダクションによる推論 / 表象 / 推論 / 学習プロセス / 代理学習 / ヒューリステイクス
研究実績の概要

本年度は、前年度の3月までの調査成果の整理と、先行研究の検討を合わせて実施した。特に、先行研究で中心的に検討されてきたのが、推論(reasoning)と表象(representation)である。この2つの先行研究を改めて検討している。まず、推論の研究では3者の理論を検討し、以下の3点に整理できた。第1に、アナロジーによる推論が新たな戦略を導出する有効な方法として理解できる。第2に、戦略を立案する担当者の価値観と直面する問題が推論に強く反映される。このことで、担当者の判断でアナロジーによる推論利用の際の対応付けが、大きく規定されている。第3に、アナロジーだけでなく、アブダクションによる推論も組み合わせて利用されている。組み合わせることで、現状から飛躍する、新たな戦略立案が可能になる。従来の研究では、アナロジーによる推論が取り上げられてきたが、そのアナロジーを利用するだけでなく、実際にはアブダクションも利用されている。以上が明らかになった。課題としては、第1にアブダクションの重要性は指摘できるが、その具体的内容は明らかになっていない。戦略立案で具体的にどのように利用されているのかの分析の必要がある。第2に、アナロジーによる推論では表象の機能の認識が十分ではなかった点である。表象が推論で果たす機能の分析が必要である。
次に、表象の先行研究では、3者の研究から以下2点が明らかになった。第1に、表象が認知活動において積極的な機能を果たしている。第2に、表象の形成プロセスでは、アナロジーによる推論と代理学習が重要な役割を果たしている。つまり表象形成が、戦略立案者を中心とした学習プロセスによって実現されている。そして、アナロジーによる推論は、その学習プロセスの1プロセスである。しかし、今後の課題として、表象形成プロセスの具体的状況分析が十分ではない点が指摘できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度夏季に、体調を崩し予定していた補足調査の実施ができなかったため、先行研究の理論的な分析枠組みの検討だけしかできなかった。そのため、先行研究に基づいた新たな仮説を利用した補足調査を実施できず、最終的な研究成果の取りまとめをできずに終わってしまった。

今後の研究の推進方策

予定では7月までに新たな仮説の検討を終了して、その仮説に基づいた調査を計画する予定である。
計画では、8月末から9月中旬の時期にかけて、新潟と長野県の優れた中小企業での戦略立案とコミュニケーションに関して、聞き取り調査を実施する予定である。それぞれ3社を対象に、計6社の調査を予定している。
調査結果の整理を10月までに終え、10月から仮説に基づいたデータの解釈を、過去のデータと併せて実施する。期間は12月までを予定する。2018年1月から3月までに、理論的な視点からデータを整理し、結果を文章化する予定である。文章化した成果は、学会誌への投稿を予定する。

次年度使用額が生じた理由

昨年度夏季に体調を崩し、予定していた現地調査を実施ができなかった。そのため予定していた旅費の使用ができず、また文献を利用する調査結果の理論的な取りまとめができず、予定していた予算の使用ができなかった。

次年度使用額の使用計画

本年度は、体調に十分に配慮しつつ、夏季の調査を実施する予定である。その後新潟と長野両地域の優れた中小企業の比較分析を行う。また諸文献の購入を行い、理論的な検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (8件) (うちオープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 物語テクストにおける問題解決プロセスの定式化にむけて2017

    • 著者名/発表者名
      飯村龍一
    • 雑誌名

      LEORNIAN

      巻: 21 ページ: 未定

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 物語テクストにおける感情表現分析2017

    • 著者名/発表者名
      飯村龍一
    • 雑誌名

      LEORNIAN

      巻: 21 ページ: 未定

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子供向けの物語における文法メタファーのはたらき2017

    • 著者名/発表者名
      飯村龍一
    • 雑誌名

      英語学・英語教育研究

      巻: 22 ページ: 3-30

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 戦略立案における推論(reasoning or inference)プロセスの理論的研究2016

    • 著者名/発表者名
      芦澤成光
    • 雑誌名

      玉川大学経営学部紀要 論叢

      巻: 26 ページ: 1-15

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 戦略立案における表象利用についての理論的検討2016

    • 著者名/発表者名
      芦澤成光
    • 雑誌名

      玉川大学経営学部紀要 論叢

      巻: 27 ページ: 1-15

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ビジネスリーダーの経験を解釈構築する‐シャープの経営戦略テクストの事例分析‐2016

    • 著者名/発表者名
      飯村龍一
    • 雑誌名

      玉川大学経営学部紀要 論叢

      巻: 26 ページ: 17-43

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] モノ作り中小企業経営者のディスコース分析にむけて2016

    • 著者名/発表者名
      飯村龍一
    • 雑誌名

      玉川大学経営学部紀要 論叢

      巻: 27 ページ: 17-27

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 物語テクストにおける会話ユニットのはたらき2016

    • 著者名/発表者名
      飯村龍一
    • 雑誌名

      LEORNIAN

      巻: 20 ページ: 3-22

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 認知的視点からの戦略形成とコミュニケーション形成の分析2017

    • 著者名/発表者名
      芦澤成光
    • 学会等名
      日本経営学会(全国大会)第91回大会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山県岡山市)
    • 年月日
      2017-08-31 – 2017-09-02
  • [学会発表] 機能的接近法による会話分析モデルの物語テクスト分析への応用2017

    • 著者名/発表者名
      飯村龍一
    • 学会等名
      日本英語教育英学会 第37回大会
    • 発表場所
      玉川大学(東京都町田市)
    • 年月日
      2017-03-26
  • [学会発表] 認知的視点からの戦略形成とコミュニケーション形成の分析2016

    • 著者名/発表者名
      芦澤成光
    • 学会等名
      日本経営学会(関東部会)7月例会
    • 発表場所
      駒澤大学(東京都世田谷区)
    • 年月日
      2016-07-16
  • [図書] 機能文法による日本語モダリティ研究2016

    • 著者名/発表者名
      飯村龍一、角岡賢一、五十嵐海理、福田一雄、加藤澄
    • 総ページ数
      336(1-65)
    • 出版者
      くろしお出版

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公開日: 2018-01-16  

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