本研究は、近年注目されている、3社以上の企業が国際間で共同出資をして合弁会社を設立する「複数企業間国際合弁(MP-IJV)」に注目する、既存の研究は「MP-IJVは成功率が非常に低い」とする一方で、「なぜ現実には多くの企業でMP-IJVが好まれるか」を説明できていない。そこで本研究では、Coalition Theory及びFaultline TheoryをMP-IJVに応用し、「(1)相対的に力の弱い企業が、潜在的に『2対1』の関係を作り出すために両国パートナーを含めた3社合弁を好む」、「(2)このようなMP-IJVでは事後のガバナンス変化が起きやすい」という理論仮説を提示し、実証研究する。 本研究は順調に推移している。まず交付いただいた科学技術研究費を基にして、2014年度に、日本企業の海外進出状況を網羅したデータベースである「海外進出企業総覧」を東洋経済新報社より、MP-IJVを抽出した。他のデータベース(日本自動車工業会のデータ等)からのデータも整備し、統計分析を行った。統計分析は申請者の仮説をほぼ支持するものであったため、その内容を論文に執筆し、2015年に国際経営学分野のトップジャーナルの一つであるGlobal Strategy Journal(以下、GSJ)に投稿を行なった。その結果、論文はGSJよりRevised & Resubmitをいただき、現在は論文の修正中である。現時点は、ややその論文の修正に時間がかかっている。修正に必要なデータ等の入手に時間がかかっていることが主な理由であるが、今年内の再提出を目指している。
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