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2014 年度 実施状況報告書

国際標準の策定と適用が欧州の産業クラスターに与える影響の分析

研究課題

研究課題/領域番号 26380549
研究機関立命館大学

研究代表者

徳田 昭雄  立命館大学, 経営学部, 教授 (60330015)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードHorizon2020 / ETP / PPP / EC / EU
研究実績の概要

本年度は、EU産業技術政策(クラスター政策含む)の根幹である、いわゆるHorizon2020の設計思想のサーベイ(文書・ヒアリング)にあたった。EUはポスト第7次フレームワーク・プログラム(2007-2013年)にあたる「Horizon 2020:the Framework Programme for Research and Innovation (2014-2020)」を開始した。Horizon2020は、欧州委員会の研究・イノベーション(Research&Innovation)政策を推進していくための資金配分プログラムである。Horizon2020に基づいて、欧州委員会は2014年から2020年までの7年間に約800億ユーロをR&Iに投資する。この額は、従来のフレームワーク・プログラム(FP1~FP7)で最大であり、世界で最も巨額の公的な研究ファンドになる。本年度は、欧州委員会がHorizon2020の枠組みを使って、どのようにR&I政策を実行に移しているのか明らかにした。具体的には、重点R&IプロジェクトとしてHorizon2020の下に設置された複数の官民パートナーシップ(Public-Private Partnership:以下PPP)プログラムを事例として取り上げて分析を行った。事例分析によって、欧州委員会のR&I政策の思想となっている「システムズ・アプローチ」すなわち、部門によって棲み分けられた旧態依然とした政策の壁を越えて(=cross-cutting approach)、社会的挑戦に対応するために異なる分野のリソースと知識を持ち寄り(=Challenge-based approach)、俯瞰的な視点からイノベーションを主導する(=holistic approach)の理解を深めることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理論面では、既存のクラスターモデルをサーベイするとともに、新たに「System of Systems(SoS)」および「インターフェイス標準」という概念を用いて、地理的近接性によらずして国際分業の進展を実現するクラスターモデルの構築に取り掛かっている。
システムオブシステムズ研究は、EUのFP7プロジェクトの中でも支援されている。関連するプロジェクトは、DANSE、COMPASS、 ROAD2SoS、 T-AREA-SoS。SoSの端緒となる研究がマイヤー(1998) 。そこでは、SoSsの5つの属性が示されている。すなわち、システム構成要素の自主操作性(Operational independence of component systems)、システム構成要素の自主管理(Managerial independence of component systems)、地理的な分布(Geographical distribution)、進化的発展プロセス(Evolutionary development processes)、創発的習性(Emergent behavior)。本研究では、マイヤーをベースにその後の研究の中で多様な属性が付加されているSoSwoキー概念として、新たなモデルの構築に努めている。
なお、実証面については、産業ドメインをCPS(Cyber Physical System)に定め、同産業クラスターの形成過程における欧州委員会のイニシアティブについて関係者に対するヒアリングを実施した。

今後の研究の推進方策

SoSsとは、「個別独立管理ドメインを持つ具体的システム」が集合した、「(一般名称としての)システム」と考えられる。今日、その一般名称としてのシステムが、多様な個別具体的独立管理ドメインを包含し、システム全体が複雑になってきている。システムを複雑にする要因は、システムスコープの拡大(つながる個別システムの数自体が増加)、異なる技術体系を持つシステム間のコネクティビティの困難性にあるあろう。
27年度は、引き続きCPSを産業ドメインに見据え、複雑性を増したSoSsの解消のために設計される「インターフェイス標準」の策定プロセスとその特徴の理論的・実証的分析に取り掛かる。また、CPSに関わる国際的カンファレンスへ研究報告の機会を求めたい(現在、27年度11月に開催されるCSDMへの報告エントリー中である)。

次年度使用額が生じた理由

予定していた消耗品の購入を次年度へ回すことになったため。

次年度使用額の使用計画

前年度購入すべきであった消耗品を本年度速やかに購入する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] EUの研究・イノベーション政策の概要:Horizon2020に着目して2014

    • 著者名/発表者名
      徳田昭雄
    • 雑誌名

      国際ビジネス研究

      巻: 6 ページ: 46-62

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Horizon 2020における欧州技術プラットフォームを活用した官民パートナーシップの取組み:EGVIの事例をもとに2014

    • 著者名/発表者名
      徳田昭雄
    • 雑誌名

      立命館経営学

      巻: 53 ページ: 39‐61

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Horizon2020における欧州技術プラットフォームを活用した官民パートナーシップ2014

    • 著者名/発表者名
      徳田昭雄
    • 学会等名
      第29回 研究・技術計画学会
    • 発表場所
      立命館大学びわこ草津キャンパス(滋賀県)
    • 年月日
      2014-10-18

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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