経営情報システム論の研究領域において注目されている社会物質性という視点から、オウンドメディアにおける購買行動履歴情報の活用能力の形成過程について考察を加えた。そこでは、入手可能な顧客情報をとりあえず収集するという態度でなく、ペンネームのような仮名であっても履歴を通じて識別可能な状態が生起するような取り組みが重要であり、その鍵は行動履歴が蓄積可能となるようなイベントの継続的開催であることを示した。 また、LCCとFSCの比較を通じて、顧客情報活用の課題について考察を加えた。そこでは、顧客忠誠心の態度の相違から顧客情報活用の方向性が異なることを示した。すなわち、どちらかといえば、FSCの場合は忠誠心は優先搭乗やラウンジ使用などの特権の獲得にあるのに対して、LCCでは割引などの価格性能比の向上に置かれる点、家族か友人・知人とのポイント共有の方法に相違が生じる可能性などについて議論を行った。とはいえ、理論的考察にすぎないために、今後は、実証的検証を行っていきたい。
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