日常的な取引を通じて蓄積した顧客の購買履歴データを分析することで新しい商機を見いだそうとするマーケティング戦略の背後には、顧客忠誠心にもとづく長期的顧客関係の構築という論理が見え隠れしている。そこでは、繰り返される取引の中で時間をかけて作り上げられる信頼関係という「付加価値」の創造が中心的な推進力となっている。 ところで、購買履歴データ活用の負の側面として「個人情報やプライバシーの侵害」という課題が指摘されている。本研究では、顧客との間に構築される信頼関係が「プライバシー問題」を緩和する可能性があると考え、購買履歴データ活用の背景となる価値観の意義についての理論的考察を行った。
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