| 研究課題/領域番号 |
26380562
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| 研究機関 | 埼玉大学 |
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研究代表者 |
平林 紀子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (30222251)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | マーケティング / 政治 / 選挙 / 米国 |
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| 研究実績の概要 |
１．平成27年度に続き、米国オバマ政権第二期を中心とする、統治マーケティングの事例分析を行った（継続中）。とくに、政権の歴史的評価（レガシー）をめぐるブランド構築の戦略技術に焦点をあて、関係者間の調整と合意を図るインターナルマーケティングと「選挙運動型統治」とのバランスを中心に分析した。
これまでの知見としては、（１）選挙を控えた共和党、経済外交実績評価の低いオバマ政権と距離を取る民主党候補との合意形成と対話が困難を極めるなか、オバマは積み残した自政権公約の進捗に向け「選挙運動型統治」を積極的に推進する。しかし（２）2016年大統領選挙が「政策論争」より「人格攻撃」の様相を強め、政策より候補言動の話題性に報道の大半が割かれるなかで、オバマの政策ブランド構築を軸とするレガシー確立の戦略は成功しない。加えて（３）トランプ共和党大統領候補は「オバマレガシーの転覆」を新政権の目標とし、オバマ政策思想の否定と政権ブランドの全面無効化を謳い、実際に新政権成立後直ちに着手する。オバマは退任後も「レガシー即ちブランド防衛」の戦略展開が必須となる。
２．平成27年度に続き、オバマ後の大統領選挙マーケティングの展開について事例分析を行った（継続中）。
これまでの知見としては、（１）2016年選挙の有権者市場は、ターゲット各層と政策を結びつける機能的価値よりも、既存政治否定など情緒的価値が優先され、また市場の潜在的需要の探索発掘よりも、充足されなかった欲求の社会的代弁が支持の決め手になるという独自性をもつ。（２）トランプ戦略はこの未開拓市場の活性化が全てであり、支持層・知名度・資金の「マシン」や、既知ターゲットの精密な同定と訴求を助ける従来の選挙マーケティングを使わない。むしろ「直販マーケティング」「ブランド拡張」「多様なメディアの影響の交差」を前提としたマーケティング戦略の新基軸がみられる。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
（１）本研究の重要要素である「2016年大統領選挙」の結果および新政権移行をめぐる政治的混乱のため、選挙総括の分析作業に予想以上の時間がかかり、また、参加を予定していた選挙結果分析の各種研究会も、当初予定の３月から４月・５月に延期された。
（２）2016年選挙の意義、また「オバマ政権と統治手法が異なるトランプ新政権」の特色を見極め、その政治的意義を考察するために、少なくとも新政権発足後100日を目安とした追加的経過観察期間が必要である。
（３）主に上記二つの理由から、英文論文（共同論文）の執筆も当初計画より遅延している。
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| 今後の研究の推進方策 |
（１）研究方法として、オバマ政権および2016年大統領選挙に関する事例研究は、当初の予定どおり、聴き取り調査および文献調査を中心に実施する。
（２）研究対象および研究期間については、上記【研究実績の概要】と【現在までの進捗状況】で記述したとおり、①オバマ政権の「レガシー即ち政権ブランド」を露骨に否定する新政権成立に伴い、オバマ政権のレガシー構築の過程は退任後の「ブランド防衛」が重要な意味をもつ。従って、対象の観察期間を新政権発足後も延長して続行する。②トランプの選挙マーケティング戦略は、従来のそれとさまざまな位相で異なっており、また統治スタイルおよび統治マーケティングの手法についても、既存の枠組みでは捉えきれない独自の性格ないし状況に左右される不安定さを示している。これらの特色を慎重に見極めるためには、少なくとも政権成立後100日、さらには１年を通じた追加観察が必要と予想される。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
以下の二つの理由から、平成28年度内に当初予定の渡航が実施できず、平成29年度にまで及ぶため。
（１）本研究の重要要素である「2016年大統領選挙」の結果および新政権移行をめぐる政治的混乱のため、参加を予定していた選挙総括分析の各種研究会が、当初予定の３月から４月・５月に延期された。
（２）2016年選挙の意義、また「オバマ政権と統治手法が異なるトランプ新政権」の特色を見極めるためにも、新政権発足後少なくとも100日を目安とした経過観察、追加分析が必要である。
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| 次年度使用額の使用計画 |
（１）研究会合、聴き取り調査のための渡航（平成29年4月）
（２）聴き取り調査、研究レビューのための渡航（平成29年9月）
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| 備考 |
SUCRA (さくら、Saitama United Cyber Repository of Academic Resources)は、埼玉県内の大学等に在籍する研究者の学術雑誌掲載論文、紀要論文、科学研究費補助金成果報告書、学位論文、研究発表プレゼン資料などを登録し、広く世界に発信している。
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