選挙と政府経営における有権者市場開発・訴求・関係構築の戦略技法としての政治マーケティングの利用が民主政治に果たす機能を、米国オバマ政権と2016年大統領選挙の事例分析を通じて検証する。 知見は第一に、マーケティングは有権者市場の開拓と可視化、回路形成や組織化に貢献する一方、異なる有権者層や利害関係者間の利害調整と合意形成には関係しない。第二に、マーケティング適用は、党派間対立の強さと連動する。第三に、マーケティングは選挙と統治の短期的効率性を高めるツールとして利用され、統治の成否を左右する中長期的な関係構築のツールとしては未開発である。第四に、マーケティング利用の戦略技能は直線的に発展しない。
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