最終年度はまず、中国・上海における日系コンビニのイノベーションと発展戦略を埋め込み概念から考察し、国内外の学会において発表を行った。国内の学会に関しては、日本商業学会第67回全国大会における口頭発表、海外の学会に関してはGBATA 19th Annual International Conferenceにおいて発表した。 また、アジアにおける日本の小売企業の成長戦略として、埋め込み (embeddedness)概念の検討と応用を行い、研究成果は2017年のアジア経営学会第 24 回全国大会において口頭発表した。 さらに、小売国際化におけるアジア市場での持続的な成長のために、新たな分析フレームワークを提示することを研究目的とした論文を作成した。論文はまず、埋め込み(embeddedness)概念と小売国際化(retail internationalization)の既存文献を考察し、小売国際化における埋め込み概念の導入意義、埋め込みへの影響要素、現地適応化との違いを明らかにした。そして、(1)空間軸と時間軸の二つの軸を重視する小売国際化の埋め込みの分析フレームワークを提案し、(2)埋め込み概念と小売企業の事業システムとの組み合わせによる分析フレームワークをベースに、補完活動としてCSR活動の導入を提案した。ほかには国別の文化、社会的構造、政治制度、法的規制、ビジネス規範、現地の経営資源、小売企業の経営本体などが、小売企業の埋め込みの影響要素であることを提示し、埋め込みプロセスにイノベーションが不可欠であることを把握した。なお、論文は学術誌への投稿が採択されて、2018年の夏に掲載される予定である。
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