研究課題/領域番号 |
26380571
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
森本 真理子 上智大学, 国際教養学部, 准教授 (20647359)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | OTC医薬品広告 / 定量的内容分析 |
研究実績の概要 |
当研究では日本でのOTC医薬品広告の現状(特に著名人起用に関する現状)と、その効果を(著名人の)信頼性理論の面から調査する。OTC医薬品広告に関する研究は諸外国においても少数であり、特に日本市場を対象にした医薬品広告に関する研究が世界的にもほぼ見当たらない現状を考慮すると、第一段階としての内容分析は、今後の当分野の研究発展のためには必須である。また、日本でのOTC医薬品市場の将来の成長において企業及びマーケティング・広告関係者にも当研究がもたらす情報・知識は、今後の戦略立案においても非常に有益な情報をもたらすと期待される。
第一段階として、平成26年度第3,4四半期及び27年度第1四半期に関東地区で放映されたOTC医薬品に関するTVコマーシャルの記録及び2名のコーダーによるコーディングを終了。データに基づき定量的内容分析の手法を用い、論文一篇を完成。該当研究の主要変数は以下の通り:製薬会社(国内、外資系); 登場人物(俳優、歌手、スポーツ選手、その他)、登場人物の性別;薬の種類、対応する症状; 広告アピール・効果(画期的、強力な効果、症状コントロール、便利、即効性、体にやさしい等);メッセージアピール; 情報の種類(価格、質、有効成分等)。該当サンプル(n=204)中、栄養ドリンク(栄養剤を含む)、風邪薬、胃腸薬がOTC医薬品TV広告の過半数を占め、広告中のメッセージアピールでは「効果的」「症状コントロール」「即効性」等が頻繁に使用されていた。特に栄養剤等では「効果的」なアピール、そして風邪薬等では「即効性」のアピールが多用されていた。該当CMの出演者のカテゴリーでは、芸能人、特に俳優・女優や日本独特の「タレント」が主に起用されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
4四半期及び27年度第一四半期に関東地区で放映されたOTC医薬品に関するTVコマーシャルの記録及びコーディングを終了。データに基づき定量的内容分析の手法を用い、論文一篇を完成、Association for Education in Journalism & Mass Communicationの本年度8月に開催される学会に応募。現在審査結果待ち。今後同論文を編集し、ジャーナルへ投稿予定。
同時に第二段階である製薬会社のOTC医薬品のホームページ情報の収集、コーディングも開始。
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今後の研究の推進方策 |
第一段階のTV広告に関する論文を雑誌論文として投稿予定である(International Journal of Pharmaceutical and Healthcare Marketing、International Journal of Advertising等を検討)。
平成27年度の計画として提案されている製薬会社のOTC医薬品のホームページの内容分析を開始。データ収集後、論文完成後は2016年春に予定されているAmerican Academy of Advertisingの学会発表に応募予定。その後雑誌論文として投稿予定(Journal of Interactive Advertising、International Journal of Pharmaceutical and Healthcare Marketing等を検討)。
平成28年度は第一段階で得られたデータをもとにOTC医薬品広告の実験的操作を行い、オンライン上でデータ収集の予定。上記のホームページの内容分析の進行状況によっては、該当実験の前倒しも可能である。データ収集後、論文完成後は2017年夏に開催予定であるAssociation for Education in Journalism & Mass Communicationでの学会発表に応募、その後雑誌論文として投稿予定である(Journal of Advertising等を検討)。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に旅費の出費がなかったため、残金を27年度の研究に繰り越し予定。
平成27年度は、当研究の第2段階である製薬会社のOTC医薬品のホームページの内容分析に着手。第1段階であるTV広告分析の結果を基に、サンプル中のOTC医薬品ブランドの中から、ウェブサイトが開設されているものを抽出し、定量的内容分析を行う。分析単位は各OTC医薬品ブランドとするが、同じブランド名の中にサブブランドとして独立したウェブサイトを持つ場合はそれぞれのサブブランドのウェブサイトも個別に分析する。CM分析と同様、抽出されたウェブサイトのサンプルは二名のコーダーが主要変数を分類する。
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次年度使用額の使用計画 |
人件費としてアシスタント1名(事務、調整作業・及び研究補助)、ホームページのコーダー2名を雇用予定。学会参加費用・旅費、そのほか通信、書籍、文具、英文校正、ウェブホスティングの費用として助成金を使用予定である。
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