本研究課題は、流通チャネルにおける垂直的取引関係において、フレーミングによって流通業者の意思決定が異なることを検討した。特に、卸売業者が小売業者から戦略提携のオファーを受けたとき、受諾する企業とそうでない企業がいる現象を、取引費用分析にフレーミングの視点を導入することで検討した。卸売業者に勤務する実務家144 人を対象として行った実験の結果、提携に際して卸売業者が関係特定的投資を要求される場合、卸売業者が予防焦点よりも促進焦点の時に提携受諾意思が高くなることが示された。この結果は、提携という経済的な問題であっても、交渉当事者が何を求めるかというモチベーションの要因が大きいことを示している。
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