研究課題/領域番号 |
26380576
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
木村 純子 法政大学, 経営学部, 教授 (00342204)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地理的表示 / イタリア / 農作物マーケティング / 地域活性化 / プレミアム価格 / 競争優位性 / 農林水産省 / 地域団体商標 |
研究実績の概要 |
【具体的内容】本研究は、地理的表示保護産品に注目し、それが地域活性化マーケティングでいかなる役割を演じるのかについて、特に国際比較という視点から、地域競争との関わりの中で探索的に明らかにすることを目的としている。具体的には、日本とイタリアという文化的・法的に異なる国での農産物および農産加工品のマーケテ ィングに焦点を当て、インタビューやフィールドワークといった手法を用いたアプローチにより収集されたデータの分析・解釈を通じてその特異性が 1)どのように競争優位性を創出できるのかを明らかし、2)どのような生産者価値と消費者価値を提供しうるのかを説明した上で、地域活性化概念の更なる精緻化を試みる。 【意義】EUの地理的表示保護制度を手がかりにして農林水産省が日本における地理的表示の導入に取り組み始めた。地理的表示の効果として地域活性化が期待されているものの理論的枠組みはまだ構築されていない。よって本研究は、特に EU 諸国と日本という文化的に異なる国による国際比較を行うことにより、発見事項の一般化可能性を高めることに努めると共に、研究枠組みのさらなる精緻化を目指すことが研究の意義として挙げられる。 【重要性】理論的には(1)地域ブランド論のさらなる精緻化を促している点、(2)地域活性化マーケティングにおける法律の制約を含む影響を経験データと共に示している点、および(3)国際比較を通じてより高い外的妥当性の保持に努めている点などが重要である。 実務的には、(1)持続可能な社会の実現の一助となる点、(2)競争が激化するグローバルな農産物・農産加工品市場における日本の地域産品の競争優位性の確立に貢献する点、および(3)生産者価値と消費者価値の創出について示唆を提供する点などが重要であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年4月にイタリア・パルマにおいて、9月にイタリア・ミラノ、ならびにローマにおいて、研究成果の発表を行った。 概念枠組みの精緻化のために海外共同研究者との研究打ち合わせを実施した。 2015年12月には海外共同研究者との調査打ち合わせを行い、2016年度に日本で実施する調査のデザインを行った。 以上の通り、研究は計画通りおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
日本の地理的表示保護産品の特殊性と普遍性のキー概念をベースに日本における地域特産品の実態に関する手がかりを得る。また、地域ブランド品を利用した地域活性化マーケティングを展開する関連主体に対してもインタビュー調査を実施する。これらの活動によって日本の地域ブランド品ならびに地域団体商標制度の特殊性とそれがいかに地域活性化を阻害/促進するのかについて整理する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は成果を蓄積するために海外学会において発表を複数回行った。旅費がかさんだため次年度分を請求して使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
7月と12月にイタリアにおいて調査を実施した。4月と9月にイタリアにおいて学会発表を行った。12月のイタリア出張分が残額不足で未払いであったため、その経費の一部にあてた。2016年度は、2015年度に収集し蓄積した調査データを分析し仮説を検証するために使用することを計画している。
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