研究課題/領域番号 |
26380578
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
小山 太郎 中部大学, 研究推進機構, 講師 (40440648)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デザイン / 製品開発 / 高級品 / デザイン・マネジメント / ラグジュアリーブランド |
研究実績の概要 |
本年度は、イタリアのデザインの原理を定式化した。それは、物の側(場所の側)から人間の世界を眺め、場所を主人公として場所が人間のために良いことをしてくれる状態を設計するというもので、B.キャリコット等の環境哲学と親和性がある。良いことをしてくれるとは、人間の様々な情緒を充足するように、人間の周囲(=環境/場所)に設計(デザイン)した人工物を配置するという意味であり、これは、財を消費して人間の主観的効用を最大限満足させる(効用極大化)という近代経済学的な発想法―人間の側から消費対象としての物の世界を眺めている―と対局をなすものである。デザイン・プロジェクトの目的は、生活上の諸問題の美的な解決であるが、生活の質とデザインとの関連について述べるなら、人間の周りにあるものが人間に対して行ってくれる良い状態を足し算する(総和を取る)ことで生活の質を上昇させることができ、ひいては人間を幸福することができる、と言える。というのも、生活の質が確保され、場所を主人公とすることで場所と人とが入れ替え(置き換え)不可能となり、結果として人間の尊厳が保たれる状態にこそ幸福が存在するとデザインの原理では思考するので。 イタリアから見るならば、日本では身の回りにある商品すべての寸法(縦・横・奥行の長さ)・面積/体積・角度(勾配)、要するに形(フォルム)が狂っており不恰好である。企画した新製品を、最終的に見映えがよくバランスが取れた美しい形(幾何学的に美しいフォルム)へと落とし込むのはイタリアではわざわざ言及するまでもなく至極当然のことであるが、日本では往々にしていびつなフォルムのまま発売されてしまうので、この点をイタリアに学ぶことができる。 なお、本年度の成果として、『高級時計ブランドのマネジメント』(角川学芸出版;共監訳)、『グッチの戦略』(東洋経済新報社;共著)などの出版が挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に一部前後する内容があるものの、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、定式化したイタリアのデザイン原理に基づき、フェレッティなどの高級クルーザー・フェラリーなどの高級自動車、そして高級家具の製作において、デザイン主導型の製品開発の実態を明らかにしてゆく。 また、デザイン志向の測定モデルについてもアンケート調査を通じて練り上げてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度後半の研究の進捗状況により、予定していたWeb調査と図書購入を次年度に先送りしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に予定している調査費用および図書費用と合わせて使用する予定である。
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