研究課題
本研究は、販売職・サービス職に就く人たちのフォロワーシップに注目し、彼・彼女らのサービス水準の向上意欲や離職の意志に対する影響要因としての効果を検証することを目的としている。既存研究によると、フォロワーシップへの注目はその重要性の割に稀少であり、豊富な蓄積のあるリーダーシップ研究を補完する上でも意義ある研究であると期待する。また、フォロワーシップは、従業員の組織に対するロイヤルティ、コミットメントや公正性(たとえば意思決定に対して参画する意向)と類似あるいは相互関連した概念であることを既存研究のレビューを基に確認した。研究年度内には、本社や経営陣(リーダーシップ)と海外法人・海外赴任者(フォロワーシップ)との相克を扱った実証研究(査読つき学術誌に掲載決定済み)と従業員のアイデンティティが危機にさらされ組織や経営陣に対するフォロワーシップが大きく揺り動かされる事例としての非営利部門の従業員(およびその対照群としての営利部門の従業員)を対象とした実証研究を行った(2016年度末時点では未掲載)。前者の実証研究では、本社のリーダーシップが海外法人の成果に対して逆効果を招くとする定性的な先行研究を補完するため、定量的な分析をおこない、海外赴任者が海外法人の市場成果や顧客志向、すなわちサービス水準の向上のために望ましい努力をする条件とそうでない条件を特定した。本社に対して思い入れを強く持たない従業員は海外法人に強く思い入れを持ったとしても事業成果を高めるような行動をとらない。こうしたリーダーシップとフォロワーシップとの齟齬は、本社が海外市場の調査に対する投資を渋り、かつ、海外法人や赴任者の目標や役割を定義する際に生じることを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
GSTF Journal on Business Review
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Proceedings in 2016 Annual Conference, Academy of Marketing Science
巻: - ページ: -
Proceedings in 5th Annual International Conference on Enterprise Marketing and Globalization
巻: 2016 ページ: 131-137