研究課題/領域番号 |
26380581
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
徳常 泰之 関西大学, 商学部, 准教授 (20340648)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 市場規律 / 保険 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究計画は、前年度からの研究計画に続いて保険会社の市場規律に関するデータ収集と得られたデータの分析と関連する文献の収集を中心に取り組む予定であった。平成26年度から継続しているデータベースの購入と保険会社や監督官庁により公開されているデータの収集・入力についてはおおむね予定通り進めることができた。しかし研究を進めていくうえで必要となるデータベースの設定に当初想定していたよりも、多くの時間がかかってしまった。そのため、有効と考えられる変数の絞り込みやモデルの構築に取り掛かるのが遅くなってしまったため、研究計画が当初の予定よりも遅れている。 また近年の保険監督者国際機構(IAIS)や欧州保険・年金監督局(EIOPA)における規制の方向性を分析する中で、IAISやEIOPAは市場規律の有効活用について指摘しており、金融庁においても保険監督を行う中で市場規律の活用の可能性を模索している段階にあることも判明した。そのため、当初の研究計画予定には入っていなかったIAIS、EIOPAや日本の金融庁における保険監督の動向について情報の収集と分析にも注力した。 平成26年度中に得られていた財務状況や契約状況に関する数値を元にした相関係数に関する分析結果より、生命保険市場には市場規律が存在する可能性について確認できている。現在、欧米における先行研究を元にして、モデルの構築を試みており、必要な変数の設定にめどがついてきた。その結果、保険業界には銀行業界のように明確に市場規律の存在するものではないが、弱いながらも市場規律が存在する可能性が確認されてきている。 平成27年度は、本研究のデータベースを作成、モデルを構築するための期間として位置づけたがやや遅れている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データベースの購入と保険会社や監督官庁により公開されているデータの収集と入力については予定通り進めることができたが、研究を進めていくうえで必要となるデータベースの設定に当初想定していたよりも、時間がかかってしまった。そのため、有効と考えられる変数の絞り込みやモデルの構築に取り掛かるのが遅くなってしまった。また、当初の研究計画予定には入っていなかったIAIS、EIOPAや金融庁における保険監督の動向について情報の収集と分析にも注力したため、当初の予定より進捗状況にやや遅れが出ていると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度、27年度に行ってきたデータの分析を中心として、研究成果を出し、研究報告を行うまとめの期間として位置づける。 IAIS、EIOPAや金融庁における保険監督における市場規律活用の可能性を踏まえつつ、先行研究を元にデータの分析を多様な方法・視点で進め、保険業界において市場規律が有効に機能しているかどうかを実証していく。 平成28年8月に開催予定のAsia Pacific Risk and Insurance Association(中国)の年次大会にて、本研究の報告を行う予定である(Accept)。
|
次年度使用額が生じた理由 |
IAIS、EIOPAや金融庁における保険監督における市場規律活用の可能性に関する資料・文献収集のために物品費が当初の予定よりも増加した。しかし研究成果を国際学会で研究報告するための費用を予算計上していたが、不受理になってしまったため、旅費に充当して使用する計画であった部分に未使用分が生じることになってしまった。そのため102,806円の次年度使用額が生じることになってしまった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、平成28年度の旅費に充当して使用する計画である。また、翌年度分として請求した助成金の使用計画については、研究報告のための出張および研究の成果を国際学会で研究報告、投稿するために必要な英文校閲の費用を予定している。
|