研究課題/領域番号 |
26380583
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
陶山 計介 関西大学, 商学部, 教授 (40154629)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | PB / NB / 食の安心と豊かさ / ブランド戦略 / コミュニティ / 小売店舗 / コミュニケーション / 日米欧 |
研究実績の概要 |
平成26年度前半期には、食の安全・安心、食購買行動、PB・NBシェアの動態、小売店舗選択行動などに関連する国内外の先行研究のレビュー、日本の小売企業や食品メーカーなどへのヒアリングを行った。また6月にはアメリカFMI(食品マーケティング協会)のトレードショーやニューヨーク、シカゴの最新の小売事情について視察を実施した。 欧米では小売業主導のPBが独自のブランド世界を構築しながら業態横断的にますますその影響力を増大させていること、小売に対するマーケティング・アプローチの展開、具体的には顧客との接点/店舗のショッピング体験に基づき、企業ブランド、店舗ブランド、製品ブランドの統合、NB×PBによる品揃えにもとづく小売ブランディングが進められていることが明らかになった。そこでは価格や品質・安全・安心とともに、健康、環境、地域貢献、社会倫理などでの新カテゴリー創造とイノベーションが期待されている。 後半期では、日本の巨大流通チェーンのPB戦略とブランド・パワーシフトについて現状を論文としてまとめる一方、「安心と豊かさを実現する食品NB/PB選択モデル」と実証仮説を構築し、日本での消費者調査を行った。そのなかでは、①PBロイヤルティ構造は企業・製品・店舗のイメージが互いに相関し合っている、②企業・製品・店舗のイメージは、ブランドとの同一化に正の影響を与える、③ブランドとの同一化はコミュニティ同一化に正の影響を与える、④コミュニティ同一化はロイヤルティに正の影響を与える、といった仮説の検証を統計的手法を用いて行った。 同時に国内調査会社と提携しながら、『プライベートブランド最新動向2015』と題する研究図書をまとめて上梓した。そこでは欧米のPB先進諸国の現状と対比しながら、わが国の進化・成長するPBの現状や浸透状況を同社の買物データを駆使して解明している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画によると、平成26年度は食の安全・安心意識、食リスク・コミュニケーションとPB/NBシェア、小売店舗選択行動などに関する先行研究のレビュー、日英米の小売企業や食品メーカーなどの視察や研究協力者へのインタビューを通じて「安心と豊かさを実現する食品NB/PB戦略」の理論モデルを構築し、まずわが国での消費者調査を行う、とあった。 このうち海外研究協力者へのインタビューが未実施である以外、食の安全・安心意識などとPB/NBシェア、小売店舗選択行動などに関する先行研究のレビュー、日米の小売企業や食品メーカーなどの視察、「安心と豊かさを実現する食品NB/PB戦略」の理論モデルの構築、日本での消費者調査、というようにいずれも研究計画通りに実施済みである。これに加えて平成26年度は、日本の巨大流通チェーンのPB戦略などブランドに関する図書、『プライベートブランド最新動向2015』をテーマとした図書をまとめることができた。以上がおおむね順調に進展していると自己評価する理由である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、前年度に実施した日本調査の応用解析を進めるとともに、平行して6月にはアメリカFMI(食品マーケティング協会)のトレードショーに再度参加してその後の変化をフォローするとともに、サンフランシスコなどアメリカ西海岸における最新の小売動向を把握する。あわせて現地では日本のPBやNBについてまとめた調査結果にもとづく知見に関して現地の小売関係者やリサーチャーと意見交換を行うことも考えている。 後半期では英米両国でも日本と同じ調査票を用いて消費者調査を実施し、その基礎解析を行うことにしている。そしてこの調査結果については可能な限り応用解析を進める予定である。あわせて国内の食品メーカーを中心に前年度に提携した調査会社の消費者データを活用したり、独自にヒアリング・インタビューを実施して、NB戦略における新カテゴリー創造やイノベーションをめぐる最新の現状と動向を把握しまとめることを計画している。
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