研究課題/領域番号 |
26380589
|
研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
大藪 亮 岡山理科大学, 総合情報学部, 講師 (00637275)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 文脈価値 / 価値共創 / サービス・ドミナント・ロジック |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、これまでマーケティング研究があまり焦点を当ててこなかったオファリング(有形財や無形財)交換後の世界に注目し、価値共創の視点から、顧客(消費者)の文脈価値の形成およびその変化のメカニズムを明らかにすることである。具体的には(1)顧客の文脈価値形成・変化とその要因についての理論的検討、(2)文脈価値形成・変化のメカニズムを捉えるための方法論的検討、(3)実証的調査の実施および分析となる。研究初年度となる平成26(2014)年度は、価値形成に関連する先行研究の整理や考察を通して(1)および(2)に取り組むと同時に成果発表を行った。 (1)については、サービス・ドミナント・ロジックや価値共創に関する文献調査を行い、最新の研究動向を把握しつつ顧客の文脈価値形成・変化に影響を与える要因について考察した。その理論的な研究成果は、共著で出版した村松潤一編著『価値共創とマーケティング論』(第4章「S-Dロジックと価値共創」)において発表した。 (2)については、理論研究や先行研究レビューを通して、文脈価値形成を捉えるための方法論に関する検討を行った。この成果については、2015年6月にイタリアで開催されるNaples Forum on Serviceにて発表する予定であり、引き続き次年度も継続して検討を行い、今後、研究論文としてまとめていく。 さらに(1)と(2)に加え、次年度以降に実施を予定している実証研究のためのパイロットスタディも行った。その成果も、前掲の書籍に掲載した(第12章「サービス業・小売業の価値共創と企業システム」と第14章「サービス業による価値共創型企業システムの構築」)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25(2014)年度は、(1)および(2)を中心に取り組んだ。特にサービス・ドミナント・ロジックに関する最新の研究動向について整理と考察ができたことと海外発表の要旨がアクセプトされたことは、大きな成果であった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27(2015)年度および平成28(2016)年度は、(3)顧客の文脈価値形成・変化に関する実証的調査の実施および分析を行う。既に企業担当者に対して協力依頼を終え、調査に関する承諾を得ており、今後は顧客を対象としたインタビュー調査を行う予定である。しかし、顧客の価値形成および変化を捉えるためには、特定の顧客に密着する必要があると考えられる。そこで調査対象の選定を慎重に行った上で、実証的調査および分析を行いたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究が順調に進み、当初平成28(2016)年に予定していた海外での研究発表を前倒しし、平成27(2015)年度に実施予定である。しかし、次年度予算には実証的調査のための国内旅費しか計上しておらず、海外旅費が不足することが予想された。 1月に海外での報告要旨がアクセプトされ発表が確定したため、当該年度の予算を次年度の海外旅費として使用することとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はすべて海外報告に関する費用(旅費等)に使用する予定である。
|