研究実績の概要 |
本研究の目的は、成熟・低成長時代を迎えた日本企業の会計行動とリスクテイク行動が、会計数値特性に与える影響を総合的に解明する点にある。具体的には、保守的会計行動(無条件保守主義および条件付き保守主義)と保守的企業行動の相互作用が、利益の時系列ボラティリティ・投資効率・企業業績・企業価値に与える影響を実証的に分析する。 平成28年度の研究実績としては、前年度のシドニー大学ビジネススクールにおける研究成果・研究交流に加えて、新たに次の2つの成果をあげることができる。第1に国際的な学会におけるさらなら研究発信をあげることができる。 Asian-Pacific Conference on Internaitonal Accouning Issues, ヨーロッパ会計学会、アメリカ会計学会のそれぞれにおいて、積極的に研究報告を実施した。国際的な情報発信を実現することができたため、多くの研究者からコメントを頂戴し、研究交流が実現した。 第2に、当該研究を研究成果として書籍にまとめた。「利益平準化行動がアナリスト予想と固有株式リターン・ボラティリティに及ぼす影響」、「会計上の保守主義が企業の投資水準・リスクテイク・株主価値に及ぼす影響」、「貸倒引当金の保守性と利益評価」、「貸倒引当金の保守性と利益調整」の4つの研究論文が『マクロとミクロの実証会計』(中野誠編著、中央経済社)という書籍に所収され、2017年4月20日に公刊された。
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