財務会計には利害調整機能と投資者への情報提供機能がある。日本では1990年代後半から会計基準の国際的調和化・統合化が進められた。その中で,投資者への情報提供機能を果たす会計情報であれば,利害調整機能も満足できるという主張や,情報提供は連結財務諸表が担い,利害調整は単体財務諸表が担うという主張がなされるようになった。 本研究は,契約理論(エージェンシー理論)を用いて,経営者と株主の利害調整に求められる会計情報の属性と投資家の意思決定に有用な会計上の属性が異なることを明らかにした。また,状況によっては利害調整には単体財務諸表よりも連結財務諸表の方が良いことも明らかにした。
|