本研究の目的は,会計情報の認識対開示に着目して,貸借対照表を重視する会計モデルについて検討することである。本研究の主要な成果は,次のとおりである。(1)経営者は,ファイナンス・リース取引の会計基準の改訂に伴って,貸借対照表管理を行った。(2)格付機関は,注記情報の信頼性が高い場合,オペレーティング・リース取引の注記情報を考慮する。(3)ファイナンス・リース取引のリスク関連性は,社債スプレッドを用いた場合,認識と開示の間で差異は観察されるが,格付を用いた場合,両者の間で差異は観察されない。これらの結果は,情報処理プロセスや情報環境が会計情報の有用性に大きな影響を及ぼすことを示している。
|