研究成果の概要 |
南洋興発においては,低廉な原料(甘蔗)価格標準や割増奨励金等を通じて,原価管理が実践された。この原価管理をめぐっては,拓務省・南洋庁といった監督官庁を巻き込むかたちで,労働争議に関連した諸問題が生じていたが,その解消にあたり,同社の決算報告等の会計実務が重要な役割を果たした。他方,日本による南洋群島の統治当初から,臨時南洋群島防備隊および南洋庁といった統治機構においては,予算管理が実践されたが,そこでは,組織変更を契機として,歳出予算のコントロール機能拡充がもたらされた。これには,南洋興発の製糖業原価管理からもたらされる同事業の安定化が貢献したことが伺われた。
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