研究課題/領域番号 |
26380611
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸田 起大 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70325588)
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研究分担者 |
篠田 朝也 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50378428)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 管理会計 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,管理会計の日本的な展開の一つの現象として,我が国の病院におけるBSC(バランスト・スコアカード)の普及プロセスを進化論的な観点から分析した。サンプルとして,日本医療バランスト・スコアカード研究学会の学会誌や啓蒙書を中心に,我が国の病院におけるBSCの戦略マップやスコアカードを具体的に記述している事例研究を,我が国の病院への導入が始まった2000年代初頭から時系列に沿ってレビューした。その結果,我が国病院への普及の初期には,財務の視点と顧客(患者)の視点が最上位で並んでいる並列型や,顧客の視点が最上位にきて財務の視点が2番目にくる第2層型などの多様なモデルが並存していたが,病院BSCを専門に研究する学会が設立され,その後,病院の相互作用の中心的な場となってきた学会が,最上位型を推奨したことが強く影響し,他のモデルは徐々に淘汰されてしまい,我が国の病院では,非営利組織であるにも関わらず,財務の視点が一番上にくる最上位型の営利モデルの戦略マップやスコアカードが優位に普及することになり,他のモデルは淘汰され採用されなくなったこと,また全体ではなく特定の部門のみで導入している病院のBSCでは,通常の顧客に相当する患者以外にも,院内の医師や看護師などの内部顧客や,他病院の医師や研修医などの外部顧客も,顧客として位置づけられているなど,顧客の視点の多様化という変異が起きていること,などを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本型管理会計のアジア展開の調査先としていた日本企業の中国子会社で,経営者の交代にともなうガバナンス上の問題が生じたため,しばらく調査を見合わせていたため。
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今後の研究の推進方策 |
日本型管理会計のアジア展開の考察を進展させるために,日本型管理会計の一つとして世界的に注目されはじめているアメーバ経営が,日本企業や現地企業で働く中国人従業員にどのような影響を与えているかについて,現地でのインタビュー調査や,経時的な追跡調査,および日本人従業員との比較研究などを進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査等が次年度に延期となっているため。
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次年度使用額の使用計画 |
延期となった調査等は次年度に実施できる見込みである。
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