研究課題/領域番号 |
26380616
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横田 絵理 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (20277700)
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研究分担者 |
高田 朝子 法政大学, イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (10349194)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マネジメント・コントロール / 知識集約型組織 / 日本企業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,製造業を中心として構築されてきた日本企業のマネジメント・コントロール・システムを,知識集約型組織の特徴を踏まえて再考し,日本企業が知識集約型組織においてもグローバルに強みを発揮できるような新たな仕組みを提言することにある。 知識集約型組織を国の政策として力を入れてきたフィンランド企業と日本企業との比較を含め,日本の知識集約型組織でのマネジメント・コントロールの概念を提言することを研究のねらいとしている。 この研究目的を踏まえた2015年度研究実績は主として2つある。 ひとつは,国を挙げてイノベーションを高める政策に取り組んでいるフィンランドにおける調査結果をフォローしまとめたことである。フィンランド企業は知識集約型組織の特徴を強く持っていることを踏まえ,在フィンランド日本企業ならびにフィンランド企業についてそれぞれ論文を執筆した。論文をまとめるにあたり,フィンランドの研究者ならびにフィンランドに滞在している研究者を訪問し意見交換を行った。また,知識集約型組織,創造性について国際的にどのような関心があるかということについてフォローするために,学会を訪問し,論文作成への参考とした。 第2には,知識集約型組織の典型例として,編集業務に着目し,複数の出版社における実態調査を行った。各社の責任者へのインタビューを行い,企画から成果物への業務の流れとマネジメント・コントロールの関係について把握した。また知識集約型組織が多いと予測される中小企業に対する質問紙調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的におけるフィンランド企業と日本の企業との比較という点においては業績として成果を挙げており,順調に進んでいる。 一方で,日本における知識集約型組織として,研究開始前には製造メーカー内の研究開発組織を考えていたが,むしろ中小企業や製造業から離れた知識集約型組織について研究すべきではないかという方針として,当初予定していた企業とは異なった調査先を探索し調査を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は本プロジェクトの最終年度である。フィンランドでの調査結果をより深耕することで今後の日本企業のマネジメント・コントロールについての方向性を見出したい。 加えて,知識集約型組織の事例を作成し,これについて検討議論を進めながら製造業以外でのマネジメント・コントロールについて検討するとともに,そこでの知見の検証を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度から次年度に繰り越しがなされた理由は,交通費や質問紙調査等について節約に努めたこと,宿泊施設の予約困難など,諸般の事情により宿泊がままならなかったことなどにより,本来長期の調査を行うはずのところが短期となっていたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度は最終年度であるため,事例研究のための調査を行うための旅費として研究費を活用するとともに,この分野の専門家との議論を行いつつ成果をまとめるとともに,仮説を検証するための質問紙調査の実施も予定している。
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