研究課題/領域番号 |
26380618
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
伊藤 和憲 専修大学, 商学部, 教授 (40176326)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 統合報告 / 価値創造 / 戦略のカスケード |
研究実績の概要 |
26年度は,本務校の在外研究制度のおかげで,コペンハーゲン・ビジネス・スクール(CBS)で在外研究を行うことが決まっていた。そこで,科研費の研究計画にはCBSで行うのに適切な課題を2つ設定した。第1は,管理会計に関連した統合報告の研究である。第2は,価値創造の可視化に関連してビジネスモデルの可視化の研究をする計画を立てた。 研究実績としては,当初計画した2つの研究課題に取り組んだ。それだけでなく,デンマークで研究する機会を得たので,デンマークの事例研究も視野に置いた。この事例研究では,デンマークの病院(西ユラン病院)のバランスト・スコアカード(BSC)の事例紹介へチャレンジした。 第1の統合報告に関する研究については,デンマークのノボ・ノルディクスは統合報告の先進企業として取り上げられるほど有名な企業である。実際に調査したところ,今日的な意味の統合報告書とは言えない内容であることが判明した。デンマーク企業は断念して,日本の統合報告書に調査対象を変更して研究を開始した。 第2の価値創造に関する研究については,アメリカ会計学会(AAA)で学会報告した。 研究協力者の関谷浩行講師と私の2名分の渡航費用として科研費を使うことができた。 研究計画以外の課題であるが,第3として,デンマーク病院のBSC事例を研究することも在外研究の目的として計画した。デンマーク語の事例研究論文を翻訳依頼して,論文を書くことができた。科研費をもらっていたことで,この翻訳を依頼することができたことはありがたかった。翻訳してもらった論文は病院内の医師とそのチームのコミュニケーションを問題視していた。私の関心事は病院のトップとスタッフ部門のカスケード(戦略の落とし込み)である。戦略マップをBUAというマネジメント・システムに落とし込むカスケードの特性を検討して論文にまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画は,研究実績の概要に既述したように,管理会計に関連した統合報告の研究と,価値創造の可視化に関連したビジネスモデルの可視化を設定していた。 研究結果は以下のとおりである。第1の統合報告については,伊藤和憲(2014)「管理会計の視点から見た統合報告」『企業会計』,中央経済社,Vol.66, No.5, pp83-88.を公表した。第2の価値創造については,伊藤和憲・関谷浩行・櫻井通晴(2014)「コーポレート・レピュテーションによる財務業績への影響」『会計プログレス』日本会計研究学会,No.15, pp1-13.を学会誌にまとめることができた。この価値創造研究に関連して,アメリカ会計学会で,The Relationship between Corporate Reputation and Financial Performance-Empirical Analysis Research in Japanese Corporations-の学会報告を行った。 これ以外にも,伊藤和憲(2014)『BSCによる戦略の策定と実行-事例でみるインタンジブルズのマネジメントと統合報告への管理会計の貢献-』同文舘出版として発行した。 デンマークの病院でのBSCに関する事例研究も行った。伊藤和憲「デンマーク西ユラン病院のBSCとカスケード」を医療バランスとスコアカード学会誌に掲載予定である。 統合報告に関連して,「わが国の統合報告の実態と組織変革の可能性」の報告を依頼された。また,価値創造に関連しては,「価値創造のメカニズムと新たな理論的モデルの提示」を日本管理会計研究学会の管理会計フォーラムで報告する予定である。 要するに,2つの研究課題はほぼクリヤーした。それだけでなく,JSPS科研費23530593の成果として著書を発行することもでき,事例研究の論文を書くこともできた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究課題はほぼ達成することができた。それだけでなく,デンマークの事例研究にもチャレンジできた。平成26年度の研究計画を2本すでに論文を書いてはいるが,まだ未投稿である。理由は,統合報告についてはインタビュー調査をしてブラッシュアップした論文に仕上げたいためである。また,共同研究者の飯島正樹教授とインドで学会報告を計画している。価値創造の研究については,理論モデルの提示はできたが,実証研究は今年度実現したいと考えている。実証研究の調査計画が完成したところで,論文として投稿する予定である。 平成27年度の研究計画で明らかにしたように,第1にソーシャルメディアと戦略実行に関する研究を行う。また,第2に企業価値概念(企業価値概念とステークホルダー)の研究をする計画である。 第1のソーシャルメディアと戦略実行の課題のうち,後者の戦略実行については,デンマークの病院の事例研究をして,すでに投稿しており学会誌への掲載を待つばかりである。今年度は,文献研究を中心として,ソーシャルメディアと戦略実行の関係に発展させようと計画している。ソーシャルメディアとの関係では,戦略の可視化とその対話をいかにすべきかを明らかにしたいと考えている。 第2の企業価値概念については,概念論は平成26年度の研究計画で,理論モデルを設定できた。平成27年度は,研究計画通り実証研究に発展させる予定である。一部分は日経新聞のNICES調査の結果を利用したり,実際に企業へアンケート調査することを予定している。NICES調査とアンケート調査の企業マッチングで悩んでいる。この研究は,継続して研究協力者として関谷浩行講師にお願いする予定である。なお,今年度は調査だけを予定しており,分析して論文にまとめるのは平成28年度の研究計画である。調査がうまくいけば,前倒しで研究を進めることも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外にいたために,科研費の残額情報がわからず,ぴったり合わせることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
3,000円弱であり,計画を変更するほどではない。平成27年度と経費の一部として使用する。
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