最終年度の研究計画は,企業価値創造モデルの実証研究による仮説検証をすることであった。具体的には,一部上場企業へのアンケート調査によって,インタンジブルズが企業価値に影響を及ぼすという仮説を検証することであった。また,特定の企業でインタンジブルズをマネジメントするアクションリサーチを行うことであった。 第1に,オンライン調査により,「マネジメント・システムと成果の関係性の実証研究」を行った。その結果を論文にまとめて日本医療バランスト・スコアカード研究学会に投稿した。この論文では,Anthonyモデルと成果の関係を分析したところ,コントロール機能が厳しく行われている実態がわかった。第2に,Kaplan & Nortonモデルと成果の関係を分析したところ,BSCを実践していないにもかかわらず,検証と適応の潜在変数を重視しているという回答になった。第3に,Ferreria & Otleyモデルと成果の関係を分析したところ,戦略志向には至っておらず,業務計画重視の経営を実践していた。 第2に,インタビュー調査で,「わが国の製造企業における戦略的マネジメント・システムの実態」を研究した。これは産業経理に掲載することができた。ここでは両利きの経営や固定予算による目標達成という組織文化が醸成されることを明らかにした。アクションリサーチの予定だったが,企業の賛同を得られずインタビューに修正した。 第3に,インタンジブルズと企業価値の仮説検証を行った。これもオンライン調査を行った。「インタンジブルズによる企業価値への影響」というタイトルで,専修大学商学論集に投稿する予定でいま執筆している。4つの仮設のほとんどが検証できた。
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