研究課題/領域番号 |
26380620
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
渡辺 岳夫 中央大学, 商学部, 教授 (00294398)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 影響機能 / 方向づけ機能 / 動機づけ機能 / 集約的効力感 / インタラクション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,組織行動に対する管理会計システムの影響機能を解明することである。そのために,平成26年度は当該システムの影響機能に関する徹底的な先行研究のレヴューを行い,平成27年度には先行研究の成果を統合する理論的な分析モデルを構築した。 そして,当該年度においては,理論的な分析モデルをより現実的妥当性の高いものにリファインするために,管理会計システムの影響機能の活用を目途とした企業実践をサーベイした。最初に,管理会計システムは,組織成員の行動の必要性に対する認識基準,当該システムが提供する情報そのもの,組織成員が意思決定の際に想起する代替案の範囲,および会計目標に対する組織成員の受容性といったファクターに対する操作を通じて,組織成員の行動に望ましい影響を及ぼしている措定し,実際に日本企業がどの程度それらのファクターに対して配慮して管理会計システムをデザイン・運用しているのかを捉える質問票を作成した。そのうえで,東京証券取引所の一部と二部に上場している2,241社に対して,郵送による質問票調査を実施した。さらに,協力企業に依頼して,より深い洞察を得るために,管理会計システムの影響機能に関して,ヒアリング調査も実施した。 質問票調査ならびにヒアリング調査の結果,明らかになった上記のファクターごとの管理会計システムの利用度合い,および当該システムに関する実務の意見を踏まえ,平成26年度までに構築した理論モデルを部分的に修正し,より現実的妥当性が高いと想定されるモデルに完成させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に照らして,概ね順調に研究が進捗している理由は,当該研究課題に対して振り向けることができると予定していたエフォートを,予定通りに傾注できたということである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において理論的に構築した分析モデルを,実践に対するサーベイを通じてリファインしたが,組織心理学,社会心理学,教育心理学に関連するモデルの構成概念,および管理会計システムの影響機能に関連するモデルの構成概念について,引き続き文献のレヴューを行うとともに,実務家に対するヒアリング調査も可能なかぎり実施し,当該分析モデルの継続的なリファインを行いたい。 また,最終年度においては,理論的な分析モデルを実証的に検証する予定であるが,そのためには数社程度のデータ収集に対する協力企業が必要である。当該年の早い段階で,協力企業を探索し,データ収集にご協力いただかなければならないであろう。 以上のことが,本研究課題を今後円滑に推進するために必要な方策である。
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