研究実績の概要 |
平成26年度(第1年度)には、東日本大震災の発生後、日本企業がどのようなタイミングでどのような内容の情報開示を行ったかを調査した。具体的には、震災当日から東京証券取引所において開示された「適時開示情報」を入手し、そのタイミングと情報内容を記録および要約した。記録の対象となった適時開示情報は3,525件(2,151社)であり、このうち震災発生から1営業日後に開示されたものは887件、5営業日後までに開示されたものは2,241件であった。これらの開示情報のなかには、自社の被災状況を開示したものの他に、非被災企業による義援金や各種支援を表明したものも含まれていた。これらの記録は東日本大震災の発生直後における日本企業の財務報告に関する資料として公表する予定である。 また、本研究では開示された情報に対する証券市場の反応を調査した。現時点での分析では、震災直後の情報開示には全体として負の反応の確認されている一方、義援金や各種支援に関する情報開示に対して証券市場の有意な反応は見られない。これらの発見事実は、26th Asian-Pacific Conference on International Accounting Issues (2014年10月28日, 台湾/台北市)において"An Investigation of Market Reactions to Disaster and Donation: A Case Study of the Great East Japan Earthquake"として発表した。ただし本分析は追加分析および分析方法の改善の余地が多く残されており、次年度以降に継続して取り組む予定である。
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