本研究は,環境経営における経営者の意思決定をコントロールするために有効な会計報告制度を解明することを目的とする。環境会計報告における経営者裁量がプリンシパル・エージェント関係から生じている可能性に焦点を当て,経営者の報告マネジメントを分析した。企業所有者と経営者から構成されるモデル分析から得た結果は,(1) 企業所有者は,環境会計報告における裁量を経営者に与える経営者報酬契約を設計する,(2) この報酬契約を所与として環境会計報告に対する資本市場における株価反応が増大し,その結果,(3) 経営者の環境経営に対するインセンティブが強化され,良好な環境業績が生じることを示した。
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