研究課題/領域番号 |
26380623
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
藤田 晶子 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20227599)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 規制産業 / 料金規制 / 財務報告 / SFAS71 / IFRS14 / フランス |
研究実績の概要 |
2014年度における研究は、規制業界の実態、および規制と財務報告との関連性について、次の2点に焦点をしぼっておこなった。第1に、世界各国における電力供給および電気料金についての調査および分析、第2に、電力業界の財務報告についての調査および分析である。 第1については、とりわけベトナムやインドネシアなどアジアの新興諸国に注目し、そこでの電力供給実態と電気料金に係る規制、料金の推移、PharaiやPertaminaなどの電力会社の状況などを、文献調査にくわえて、現地研究者や銀行スタッフとのミーティングをつうじて詳細な情報収集をおこなった。 第2については、欧州および日本の電力や会計規制、電力会社の財務報告の比較分析をおこなった。とりわけ世界的に高い市場シェアを有する欧州最大手の電力会社EDF(フランス電力公社)に注目し、フランスと日本における電力規制・電気料金・財務報告基準の比較研究、EDFと東京電力株式会社の財務報告に係る調査・分析を進めている。 EDFについては、当初の予定どおり、Yuri BIONDI氏(ESCP Europe-Paris教授)に協力をあおぎ、同社の財務報告やSFAS71やIFRS14など規制産業に対する財務報告基準の在り方を調査している。また、規制産業はもとより国際的な財務報告基準の動向について、Bernard COLASSE氏(Universite Paris-Dauphine校)を招聘し、共同研究をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランスの研究者であるYuri BIONDI氏およびBernard COLASSE氏の協力がえられたことで、欧州の規制産業に対する料金規制や財務報告基準、電力会社の財務報告についての研究は、当初の計画以上に進んでいる。ただし、アメリカの規制産業についての研究は、まだ文献調査の段階にあり、やや遅れている感は否めない。
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今後の研究の推進方策 |
日本と欧州における規制および規制業界の財務報告について、さらなる調査分析を進めることで、日欧の比較分析モデルを完成させ、それをアメリカはもとよりアジアの諸国にも適用していくことにしたい。 調査分析にさいしては、規制産業、すなわち電力会社はもとより、市場やそれを監視する諸機関にも範囲を拡大し、当該研究課題の最大の論点ともいうべき財務報告の役割について、研究を進めていくことにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度において、日欧における規制の実態、規制と財務報告の関係、財務報告基準の在り方について、文献や研究会での報告をつうじて充分に熟考したうえで、さらなる調査研究を実施したく、あえて当該年度の使用額の一部を次年度に繰り延べた。
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次年度使用額の使用計画 |
財務報告基準の在り方については、Bernard COLASSE氏と共同研究するべく氏の招聘費用に一部を充当するとともに、EDFが事業を展開するアジアや南米の諸国への調査に充当することとしたい。
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