まず、最終的な研究実績として一定の成果が得られたと考えている。 ひとつは、制度的にはいまだに拡大傾向にある医療法人が行う事業について一定の理解ができたことである。とりわけ、介護事業については医療的ケアが必要であるという根拠の下、適用事業が拡大した。 また、ひとつは研究期間の間に「医療法人会計基準」が民間団体の作成の下ではあるが作成されたことは大きな転換点であった。その設定により、公正妥当と認められる会計基準とは何か、どのような会計基準を設定するべきなのか、誰を保護する会計基準を設定するべきか、設定主体はどこか…などについて検討できたことである。もちろん、また結論に至るまでではないものの、あるべき会計基準を考察するきっかけとなったことは成果である。 決算書について言及すれば、損益計算書については、医療事業・介護事業・その他収益事業等、拡大する事業の損益等が反映する形の様式が良いのではないかなど、新たな視点も取り入れた。 さらには、アンケート、ヒアリングなどにより、実務が望む会計基準はどのようなものかについて知見を得られたことも大きな成果である。アンケートについては統計的分析を継続中であり、成果公表もできそうである。ただ、成果の公表という点では、期間終了後も整理する論点があり、期間中にすべてを完了できなかったという反省材料もある。 公正妥当な会計基準の下で作成される財務諸表が経営活動を写像することを信じて、それを利活用し、さらなる新たな研究に邁進したい。
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