研究課題/領域番号 |
26380628
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
橋本 武久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00290601)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 会計史 / 連合東インド会社 / 株式会社 / オランダ / データベース / 簿記 |
研究実績の概要 |
申請書において,「本年度の目標は,会計史料の発掘・収集を行ない,そのデータベースを完成させる。また,学内の個人ホームページ内に研究内容の中間報告ができるページを作成する」こととしていた。そこでまず,昨年度の実施状況報告書で予告した,当該領域に関する資料のデータベースの構築とその開示を目的としたホームページ(http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/project/hashi-lab/)を,平成27年5月に公開するとともに,昨年度より行っている,これまでに収集した史料の整理と分析を引き続き実施した。 なお,本研究に必要不可欠な史料(資料)の一つとして,連合東インド会社(Verenigde Oost-Indische Compagnie;VOCと略される。通称オランダ東インド会社)の役員会議事録をあげ,この収集を計画していたが,これをマイクロフィッシュに集約した史料(資料)(「オランダ東インド会社役員会決議事項集成」Resolution of the Heren Zeventien of the Dutch East India Company, 1602-1796)を本務校における学内経費によって入手することができたため,若干の研究計画の修正を行い,オランダ・ハーグ所在の国立公文書館(Nationaal Archief)おける調査よりも,本年度も国内において,これらの内容確認,整理及び調査を優先的に行うこととした。当該史料(資料)は,同社が設立された1602年から,解散に至る1796年までの,同社の最高意思決定機関における決議事項の集成であり,779枚ものマイクロフィッシュから成っている。現時点では,本研究課題に関連するものの整理をし始めたところである。 また,研究成果の中間報告の一環として学術雑誌に論文を発表し,本助成金の研究成果である旨を明示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を状況の変化(前述の別予算での史料(資料)の取得)に合わせて国内での研究活動に集中するなど,研究計画を一部修正しながらも確実に履行している。また,2年目の計画の一つであった中間報告として文献データベースを含んだホームページ公開し,加えて学術雑誌への論文の投稿・掲載なども行ったことから,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,これまでの役員会議事録の整理と解読の作業を継続するとともに,その分析から同社会計システム構築の意思決定過程を明らかにし,加えてその記帳規則,帳簿組織図を作成するよう試みたい。 なお,研究計画の一部修正のため実施できていなかったオランダでの実地調査によって,オランダ東インド会社史料のOpperboekhouder(上級簿記係)の項目に内在すると考えられる会計史料の発掘にも取り組むとともに現地の研究者とも意見交換を行いたい。また可能であれば長崎県の平戸,出島両支店の資料の調査のために,長崎県および東大史料編纂所にも赴き調査を行いたいと考えている。 また,本年度が最終年度にあたることに鑑みて,本研究の研究成果の公表とその活用方針を明らかにし,今後の研究計画の策定も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の中間報告として国内専門雑誌に論文を掲載する作業行ったことと,本年度にオランダにおいて収集予定であった史料(資料)をマイクロフィッシュに集約したものを,学内予算(全学図書)で申請したところ,これが認められ入手できたことから,国内に滞在し,これを先に検討してから次年度オランダに赴くことが当該研究課題遂行上合理的であると判断したので,オランダでの実地調査及び史料(資料)収集を延期し,その渡航経費を繰り越したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費については,平成28年度は当初予定では短期滞在の学会参加等を想定した200,000円のみを計上していたが,前年度までに行えなかったオランダにおける史料(資料)収集及び研究を本年度に行うためには,旅費が大きく不足することから,繰越分430,010円をこれに充当することとした。
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備考 |
平成27年5月より公開。関係文献データベースへのリンクあり。
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