研究課題/領域番号 |
26380628
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
橋本 武久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00290601)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 会計史 / 連合東インド会社 / 株式会社 / オランダ / データベース / 簿記 |
研究実績の概要 |
計画段階における最終年度の目標は,第1に,入手済みの本社議事録から,同社会計システム構築の意思決定過程を明らかにし,加えてその記帳規則,帳簿組織図を作成すること,第2に,これらの検討から,同社の会計システムの全体像について明らかにすることとし,その成果を基に最終報告をまとめることとしていた。なお,研究成果については,上記の既設の学内の個人ホームページから適宜発信するとともに,国内外の学会において最終報告を行う。また,発掘史料の適性と評価について,現地のオランダ人研究者との合同研究会を実施し,適宜,その方向性をチェックする体制を整えることとしていた。 そこで本年は,引き続き収集資料の分析を継続しつつ,研究の成果の妥当性について検証すべく平成28年9月,オランダに赴き,平成18年に実施した在外研究以来の交流があり,オランダ会計史学者で長崎商館帳簿に関しても業績のあるK.Camfferman(カムフェルマン)アムステルダム自由大学教授,同様に旧知で,オランダ東インド会社史の研究者であるC. Nierstrasz(ニールストラサッツ)エラスムス大学講師と面談し,新たな知見を得るとともに,今後の研究課題についても新たな視座を得ることができた。この他,イギリス・ブリティッシュライブラリー,東京大学史料編纂所にも赴いて,関連する新たな資料を入手することができた。 なお,成果報告の一部として専門学術雑誌『會計』(第190巻第5号,平成28年11月)に「『帳簿の世界史』とオランダ会計史」として論文を公表し,当該論文が,本研究助成金の成果の一部である旨を明記した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オランダ,イギリスへの調査を実施しつつ,データベースの作成と拡充を遂行し,前年に引き続き専門学術雑誌に投稿し,研究成果の一部を論文として発表するなど,成果報告については着実に公表することができているが,一方で,研究成果の全体を明らかにするために必須の収集資料の分析には,現地調査で新たな資料を得たこともあり,予想以上に多くの時間がかかっていることから,進捗状況としては「やや遅れている」と判断し,1年間の研究機関の延長を申請の上,承認を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度はまず,遅れている資料の分析を行い,並行してデータベースを完成させるとともに,成果報告の取りまとめに傾注したいと考えている。成果の公表については当面,すでに構築している研究成果公表用のホームページにおいてスピーディーに実施するとともに,専門学術雑誌における公表を企図している。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業期間の延長を申請し承認を得ている。この理由は,今日まで,当初の期間内において研究を完遂することを企図し,綿密に計画を立ててこれを実行してきたが,最終年度に実施した海外現地調査・研究において,これまで入手できなかった新たな資料を入手することができ,その解読と分析,および研究全体との集約に,想定以上の時間が必要となったためである。また,これにともない東京大学史料編纂所や長崎出島商館跡などへ,国内出張を2度程度考えていたものが,日程調整がつかず1回のみとなったため,使用額も想定を下回ることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に履行できなかった国内出張と研究資料の購入に支弁する予定である。
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備考 |
株式会社の発生と本質に関する会計史的研究 http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/project/hashi-lab/ 平成27年5月より公開。関係文献データベースへのリンクあり。
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