研究実績の概要 |
本研究は,オランダ東インド会社の会計システムの全貌を明らかにした上で,株式会社の生成・本質と会計システムの関係を,会計史の観点から研究することを目的として,平成26年度から3か年の予定で始まった。本年度は、当初予定した3年間で得た資料の解読,および研究成果の集約のために延長した年度である。これまで合計4年間の研究を総括した。 具体的には,初年度より作成を行ってきた文献データベース化の完了し,収集した文献の解読や分析結果を集約することができた。 そして,本課題の研究成果の一部を学術論文として公刊した。すなわち,わが国にもたらされたもっとも古い西洋式簿記書の一つとされるものの,これまで十分に検討されてきたとは言えないOudshoff, W.『イタリア式あるいは商人簿記に対する完全なる理論的および実践的手引き』(原題:Vollegig theoretisch en praktisch handboek voor het Italiaansch of Koopmans boekhouden, Rotterdam, 1833)を取り上げ,文献史的観点から本研究課題である株式会社の発生に関連して,会計史的観点から重要な資本勘定の位置づけが,株式会社の成立という社会経済的背景を反映しているであろう簿記書においても明確に示されていることを「19世紀オランダ簿記書における資本勘定」(『會計』,第192巻第5号,43-52頁)と題して発表した。
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