研究課題/領域番号 |
26380630
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
奥田 真也 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (40351431)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 会計学 / リスク / 資本市場 |
研究実績の概要 |
研究期間があと2年となった平成28年度はこれまでの研究内容を成果として公刊していく時期に当たると考える。公刊という点で最も研究が進んだ会計情報が資本市場におけるリスクといかに関係しているのかという観点からの研究である。この観点を含んだ研究はその成果を英文ジャーナルに2本公表することができた。一つは会計情報の利益の質と個別リスクの関係についてであり、ひろく会計情報とリスクの関係をとらえることができたと考えている。もう一点は税効果会計情報と負債コストの関係についてである。会計情報が負債市場でどのように評価されているかに関する研究はこれまであまり進んでいないが、負債は株式と異なったリスクの評価をしていると考えられる。そのような市場において、会計情報のなかでも特に理解が困難な税効果会計の情報がどのように評価されているかについて公表できたことは、負債市場の理解を進めたものであると考えている。 また企業のリスクマネジメントとしてのCSRと税負担削減行動に関しても成果を公表することができた。CSRは企業のリスクを積極的に取り扱うという性格を持ち、税負担削減行動は企業がリスクを抱え込む可能性のある活動である。この両者がどのような関係にあるかについて捉えることで、企業のリスクマネジメントを多面的に評価できたと考えている。 このように28年度もリスクの様々な側面から会計情報とリスクの関係について考察できたと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究最終年度を迎える前に、昨年度の2本を入れて査読付き英文ジャーナルに3本論文を掲載することができた。もちろん、それ以外にも日本語では査読付、査読なしを問わず多数の論文を公表することができた。国内外を問わずに研究成果を公表できてきたことは、十分な成果であると自己評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は研究期間の最終年度となる。そこで、企業のリスクマネジメントと会計情報の関係についての集大成となる論文を執筆することを本年度の目的とする。資本市場の観点からは税負担削減行動など、企業が抱えているリスクを資本市場がどのように評価しているのかについて検討を加える。また、リスクマネジメントとしてのCSR活動と会計情報の関係についても考察する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当年度は論文執筆に注力したため、学会発表を行うことをしなかった。そのため、学会出張が想定よりも少なく、結果として次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
当該年度においては学会出張を一定程度行う予定である。また、CSRに関する研究が進展したため、これに対しても一定程度予算を割く予定である。
|