本課題の目的は,会計の理論化に影響を与えた要因を再検討することであった。現代的な財務会計と管理会計の源流である19世紀イギリス鉄道会計の財務情報だけでなく非財務情報も分析し,先行研究が行ってきた歴史的実証研究に加えて,テキストマイニングおよび統計的分析も活用し,結論の科学性を高めることに努めた。結果として,会計を変化させた要因として,これまで主張されてきた配当政策に加えて,資本勘定閉鎖問題の影響があったこと,実務が制度や理論を先導していたこと,いくつかの会計変化が相互に関連しながら資本的支出と収益的支出の区別の理論確立につながったことを明らかにし,これを学会誌で公表した。
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