京セラとハイアールの研究を通して日本的管理会計を解明するためには、その基盤である日本的経営を改めて研究する必要性を認識した。そのため日本資本主義の父と呼ばれ、多種多様な企業の設立に関わってきた渋沢栄一の事跡と思想をまず調査・研究し、渋沢栄一が提唱した「論語と算盤」や「士魂商才」が日本の経営者に重要な影響を与えていることがわかった。出光興産の出光佐三やパナソニックの松下幸之助、京セラの稲盛和夫の経営思想や経営管理システムも考察し、人を大切にする経営理念と事実上付加価値を中軸とする管理会計の重要性を明らかにした。同様なことは伊那食品工業や未来工業、日本経営などの企業調査でも理解できた。
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