研究課題/領域番号 |
26380637
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
安酸 建二 近畿大学, 経営学部, 教授 (00309494)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 原価分析 / 実証研究 / アーカイバル・データ / コスト・マネジメント / コスト変動 |
研究実績の概要 |
初年度である平成26年度の研究計画の主な内容は、①文献調査、②予備的な聞き取り調査、③データ・情報収集、④データ分析・論文作成・学会発表である。①文献調査については、財務会計領域に対して管理会計領域のコスト変動研究の適用可能性を探るために、特に、利益予想、利益調整研究に焦点を当てて文献研究を行った。②予備的な聞き取り調査については、製造企業、薬局チェーン、病院に対して実施した。聞き取り調査を通じて、コスト変動に影響を与える要因について情報を収集すると同時に、分析結果の解釈に対していくつかの重要な示唆を得た。③データ・情報収集については、特に、実務との関係構築に力を注いだ。この結果、組織内部の予算や実績に関する詳細な月次データの提供を、現在、ある組織から受けている。また、経済雑誌が毎年、公開企業に対して行っている調査結果のデータベース化を図った。収集したデータは、公開企業の予定減価償却費、予定研究開発費、予想されるROAなどである。④データ分析・論文作成・学会発表については、今回の報告する業績の他に、現在、1つの論文を管理会計の専門誌の投稿し、査読を受けている。また、海外雑誌に投稿すべく英文の論文の準備も進めており、平成27年度の早い段階で投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①コスト変動に関する文献調査に加え、利益調整や利益予想に関する文献も調査している。文献調査は順調に進んでいる。②予備的な聞き取り調査に必要な実務との関係構築についても、この一年間で企業や医療機関との良好な関係を構築しつつあり、協力関係を築いてきた。この結果、統計的に把握されるコスト変動を、聞き取り調査で補完するような調査研究のスタイルが実現しつつある。③データ・情報収集については、ある企業から内部データの提供(予算と実績に関する月次のデータ)を受け、学会報告の資料として活用できる水準まで分析を進めている。この結果の一部は、平成27年4月の学会で報告予定である。また、経済雑誌から公開企業の予定減価償却費、予定研究開発費、予想されるROAなどのデータを収集し、データベースの作成を終えている。④データ分析・論文作成・学会発表については、すでに1つの論文を管理会計の専門誌の投稿し、現在、査読を受けている。また、海外雑誌に投稿すべく英文の論文の準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に変更はない。ただし、企業内部のデータを利用した詳細なコスト変動分析については、相手企業、相手機関の内部事情もあるため、研究の推進に常に不確実性が伴う。このため、相手企業、相手機関との関係構築にこれまで大きな努力を払ってきた。現時点では十分な関係を構築したと考えているが、論文作成や公表の段階で許可を得ることができず、論文発表ができない可能性も潜在的に常に存在する。この点に細心の注意を払いながら研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は概ね順調に計画通り進んでいるが、学生アルバイトを雇用して経済雑誌からデータを手作業で収集しデータベースを作成した関係で、データベースの作成に多少の遅れが生じ、研究費の次年度使用額が生じた。 また、英語で執筆中の論文の英文校正を専門業者に依頼し、専門業者より英文を修正するよう指摘を受け英文の修正を試みた。しかし、英文の修正に時間がかかったため、途中段階で請求書を発行してもらい支払いを行った。この結果、当初の見積額より専門業者に支払った額が小さくなり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
データベースが完成したため、データベースの保管に必要な記憶媒体の購入に充当する。 また、英語で執筆中の論文の英文校正を、現在、改めて専門業者に依頼しており、この支払いに充当する。
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