• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

「目で見る」複合調査の方法論の構築(その1.調査票設計の影響を計量的に把握する)

研究課題

研究課題/領域番号 26380643
研究機関埼玉大学

研究代表者

松田 映二  埼玉大学, 社会調査研究センター, 准教授 (90649964)

研究分担者 松本 正生  埼玉大学, 社会調査研究センター, 教授 (00240698)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード初頭効果 / 直近効果 / 選択肢の縦配置 / 選択肢の横配置 / 選択肢の多段配置 / 中間選択肢 / アイカメラ
研究実績の概要

質問文を「目で見る」調査の特性(バイアス)を計量的に精査するため、実験計画により標本サイズを2000とし、統制群(標本サイズ:1000)、実験群A(500)、実験群B(500)の3群に分けて調査した。調査対象はさいたま市内の有権者、調査方法は高回収率が見込める郵送調査で実施した。スケジュールの都合上、督促は1回のみの送付だったが、有効回答は1299票(回収率65.0%)。有意差検定をするうえでも十分な精度が得られるものとなった。平成28年度にはこのデータを用いて分析し、学会発表・論文投稿を行う予定である。
本研究で注目される成果は、①調査票の体裁(マトリックスの使用・不使用なども含む)により回収率に影響を及ぼすこと、②5ポイント・スケールの選択肢の横配置では右端に「その他」の選択肢を配置することで視覚的な中心位置がずれる影響の評価(統制群Aと実験群B)、左右の選択順を変えることによる比較(実験群BとC)、③マトリックスを使用しないもの(A)、マトリックスを使用し選択肢文をすべて表示するもの(B)、マトリックスを使用し選択肢文を表頭・表尻にしか付さないもの(C)による評価、④分岐質問への矢印や枠線および説明文の違いによる誤誘導の評価、⑤選択肢文の縦配置において昇順(A)・降順(B+C)による評価、⑥選択肢文の縦配置(A)逆順(B)横配置(C)による評価、⑦複数回答における順位指定回答と通常の複数回答による選択数の評価、⑧選択肢の2段配置の影響の評価、⑨中間選択肢「どちらでもない」の配置の影響、など1つの調査票に多数の設定をしてデータを収集できたこと。日本においては稀有な実験成果となるであろう。欧米においても非常に関心の高いものになる。有意差が付いた質問・選択肢配置については、アイカメラによる追試(視覚の影響計測)を実施予定。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

質問文を「目で見る」調査の調査票体裁による影響を調べるのに、郵送法を用いたことが実験を成功に導いた。さいたま市という都心部にもかかわらず、督促が1回にもかかわらず有効回収率は65.0%。この調査の調査票の原型は、埼玉県と埼玉大学が共同研究で実施した「人口減少に対応した地域づくり」調査(平成27年5-6月)のものであり、さいたま市以外の7市町のデータもすでに収集してある(督促2回実施で平均回収率70.5%)。この調査による知見を利用して、選択肢の配置の変更など「目で見る」ことによるバイアスを計量的に確認しやすい実験計画が設計できた。

今後の研究の推進方策

実験結果の分析を進め、「目で見る」調査のバイアスを一般化する形の学会発表および論文投稿を行う予定である。
紙の調査票をPDF化してパソコンの画面に表示し、アイカメラを用いた視線の追跡調査も実施する予定。選択肢順や配置の違いが回答傾向に違いをもたらす理由を確認する。
本研究で郵送調査により調査票の体裁の影響を調べているのは、回答の代表性を重視しているからである。これまでに得られた知見を基に、いずれ調査法の主流となるであろうインターネット調査の画面表示の影響へと研究をつなげたい。そのために、先行研究が充実している欧米の事例取集および情報交換も、引き続き精力的に行うつもりである。

次年度使用額が生じた理由

郵送調査を実施した際に、回収率向上のために通常2回の督促を実施するが、今回は1回にとどめたため調査経費が削減され、次年度使用額が発生した。調査スケジュール上、2回目の督促を実施すると3月に請求が発生することになる。ところが、昨年度は埼玉大学の5か年計画最終年度のために会計処理は2月までにすべて終えるよう要請があった。こうした事情もあって督促回数を減らしたことがおもな原因である。

次年度使用額の使用計画

今回研究による実験結果は、とても有意義で面白いものになっているため、調査結果の集計表も含めた報告書を作成して、関係者に配布したいと考えている。
300頁程度のものになれば印刷費用も高くなるが、これらの経費内で部数を決めて発行する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 埼玉県・埼玉大学共同意識調査ー人口減少に対応した地域づくりー2016

    • 著者名/発表者名
      松田映二
    • 雑誌名

      政策と調査

      巻: 10 ページ: 51-79

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] インターネット調査の新しい可能性2015

    • 著者名/発表者名
      松田映二
    • 雑誌名

      政策と調査

      巻: 9 ページ: 5-18

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi