研究課題/領域番号 |
26380647
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
北村 寿宏 島根大学, 研究機構 産学連携センター, 教授 (60314621)
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研究分担者 |
藤原 貴典 岡山大学, 研究推進産学官連携機構 産学官融合センター, 教授 (20274011)
竹下 哲史 長崎大学, 産学官連携戦略本部 共同研究支援部門 共同研究支援室, 准教授 (20295083)
川崎 一正 新潟大学, 産学地域連携推進機構 産学地域連携推進センター, 准教授 (50214622)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 共同研究 / 産学連携 / 地域イノベーション / 地理的分布 / 地方大学 |
研究実績の概要 |
本研究では,地域イノベーションの創出など今後の役割がますます重要になると言われている地方の産学連携に着目し,新潟,島根,岡山,長崎の4大学について,1)各大学の共同研究の実状を明らかにすること,2)これらの結果を比較し共通点や相違点を明らかにすること,3)産学連携の活性化や地域イノベーションの創出に向けた問題点や課題を抽出すること,を主な目的としている. 平成26年度は,4つの大学における企業等と大学との共同研究の実施状況について,各大学での共同研究契約情報を基に調査・分析を行った.平成21~25年度の5年間の共同研究契約の情報を基に,以下の手順で整理した.1)当該年度に共同研究費の受入がある場合のみを件数としてカウントする.2)3者以上の契約の場合,研究費を受け入れた企業のみをカウントする.3)共同研究先の所在地は,契約書に記載されている住所とする.4)各年度の共同研究の契約について,相手先属性(中小・大企業,その他),相手先の所在地,研究費受入額について一覧を作成する. 整理に基づき分析した結果,企業を相手先とする共同研究は,1)相手先が大学の所在する地元企業との共同研究は20~25%程度で,関東,近畿,東海,中国地方に位置する企業とも多くの共同研究が行われていること,2)相手先が大企業の場合には,関東,近畿,東海,中国に位置する企業との共同研究が60~75%を占めており,地元企業との共同研究が少ないこと,3)中小企業を相手先とする共同研究は,大学が所在する地元企業との割合が高いものの,関東や近畿に位置する中小企業とも多く行われ,近年,地元企業との共同研究が減少傾向にあることがわかった.企業以外の自治体などの機関との共同研究は,大学が所在する地元機関と行う共同研究が多かったが,関東に位置する機関との共同研究も多数行われていることが明らかになった.これらの研究結果を産学連携学会の大会で発表し公開する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新潟,島根,岡山,長崎の4大学の共同研究の実施状況については,当初の計画通りに調査,分析が進み,共同研究先の地理的分布を明らかにすることができた.この研究成果を産学連携学会第13回大会(H27.6.25,26北見市)で発表する予定である.4大学の共同研究の実施状況の詳細を明らかにし他大学とも比較できるように,全国の国立大学における共同研究1件当たりの研究費受入額(平均額)についての調査,分析を行い,平均額が大学の知名度と相関があることを明らかにした.この結果を,産学連携学会第12回大会(H26.6.25-27下諏訪)で報告すると共に,産学連携学に投稿し平成27年5月発行予定の論文誌への掲載が確定している. 4つの大学以外の大学の共同研究の実施状況を明らかにし,比較することも必要である.これについては,現在,大学の選定を進めているが,北見工業大学に打診し協力を頂けることとなり,4大学以外の大学の調査も進展しつつある. このように,平成26年度に計画していた内容を予定通りに実施できており,かつ,研究成果も得られていることから,「おおむね順調に進展している」と判断している.
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今後の研究の推進方策 |
平成27,28年度も計画書に従い研究を実施していく予定である. 平成27年度は,以下について検討を進める予定である. 1)新潟,島根,岡山,長崎の4大学については,平成16~20年度の5年間の期間についてこれまでと同様の調査・分析を行い,平成21~25年度の調査・分析の結果と比較して,経時的な変化について明らかにしていく予定である.4大学間の比較を行い,共通点や相違点を整理すると共にその要因を検討する.2)4大学以外の他大学について,この研究で確定した調査方法と同様の方法で調査を行えるかを打診し,可能な場合には,調査・分析を実施し,4大学を含めた比較を行う.3)企業との共同研究によって実用化された事例の調査の実施について検討を行う. 平成28年度は,以下について検討を進める予定である. 1)各大学の共同研究の実施状況の調査・分析結果に基づき,共同研究の実施状況とその共通点や相違点の要因についてまとめる.2)この結果をもとに,地方における効果的な産学連携や地域イノベーションの創出に向けた問題点や課題を整理し,課題の解決に向けた検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は,1)研究打合せや調査のための旅費について,飛行機の早割などを最大限に活用し,効率的な使用に努めたこと,2)物品購入においては必要最小限のものの購入とし,できる限り安価に入手できるよう努めたこと,によるものである.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は,他大学の調査など調査旅費を多く使う必要があることから,主にこの目的に使用し,効果的な研究の進展に努める予定である.
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