研究課題/領域番号 |
26380650
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
遠藤 恵子 城西国際大学, ジェンダー・女性学研究所, 准教授 (40327250)
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研究分担者 |
森田 圭亮 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (70467265)
五十嵐 哲也 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90458141)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 納税意識 / タックス・コンプライアンス / 道徳的感情 / 租税知識 |
研究実績の概要 |
2015年度は、次の研究を遂行した。第一に、文献研究として、主に、日本の租税政策の歴史を理解するために、大蔵省や財務省が刊行している年史等のほか、官僚等による回顧録、日本の財政社会学等の研究書といった文献の収集を行った。また、新聞記事の調査としては、前年度に引き続き、主に朝日新聞および読売新聞の投書欄において、「税」という語を含む投書件数の月別推移を確認した。2紙共通の傾向は9月から12月にかけての投書件数の増加であるが、これは軽減税率の導入が与党内で議論された時期に重なり、それに関連する投書が多く見られたことによる。第二に、経済理論に基づく分析としては、租税回避行為に伴うリスクに対する納税者の意識に注目しながら、現行の源泉徴収制度や罰則に関する問題点を取り上げ、それらを改善する方法についての指針を示すことができた。第三に、「心理・社会的要因の調査研究」として、質問項目作成のために、大学生対象の聞き取り調査を実施した。前年度に続き、心理学および社会学の調査研究のほか、納税者意識等の意識調査にかんする文献を収集し、検討した。それらの文献を踏まえて、社会規範の順守志向や、税金に関する意識(税金への関心の有無のほか、税の負担感やその公平性等)などの質問項目を作成し、聞き取りを行った。おおむね、社会規範の順守志向が表明されたものの、税金に関する意識については様々であった。次年度は、こうした結果の検討を重ねて、質問紙を作成し、質問紙調査を実施することとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、日本の税務行政組織や租税政策等にかかわる文献の確認、収集は一定程度行った。また、新聞記事の調査も凡その傾向をとらえつつある。しかし、その収集は主だったものに留まり、今後の整理検討および新たな収集の必要がある。この必要は、他の領域の研究においても同様である。そのため、文献研究や経済理論に基づく分析を、次年度以降も引き続き行うこととしたい。
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今後の研究の推進方策 |
税務行政等の制度や歴史にかかわる文献研究、経済理論に基づく分析を、次年度以降も引き続き行うこととしたい。なお、制度や理論的研究を進めるときには、現在の社会情勢を必要に応じて適宜考慮するべきであると考えている。文献研究においては、これまでに収集した文献等の整理検討とさらなる収集を行う。また、「心理的・社会的要因の調査研究」においては、今後も、質問紙作成および質問紙調査の実施に必要な資料収集、聞き取り等の情報収集を行う。とくに、聞き取りについては、大学生のみならず、租税教育等の関係者に対しても対象を広げて行うこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
第一に、研究遂行のための情報収集に関連して、今年度は書籍や雑誌論文などの文献収集が中心となり、情報収集のための旅費支出が当初の予定より少なくなったこと、第二に、謝金に関連して、文献研究の資料整理等を研究代表者自身で行うに留まり、その支出を行わなかったことが、次年度使用額を生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
文献のほか、研究遂行に必要な物品を購入するために相当の物品費が必要となる。ほか、文献研究および「心理的・社会的要因の調査研究」などの遂行に際して、データ整理補助および専門的知識提供への謝金等を要する。さらに、研究遂行に必要な情報収集等のための学会等への参加のほか、資料収集や調査実施のための旅費等の使用を予定している。
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