研究課題/領域番号 |
26380650
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
遠藤 恵子 城西国際大学, ジェンダー・女性学研究所, 准教授 (40327250)
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研究分担者 |
森田 圭亮 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (70467265)
五十嵐 哲也 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 准教授 (90458141)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 納税意識 / タックス・コンプライアンス / 道徳的感情 / 租税知識 |
研究実績の概要 |
2016年度は、次の研究を遂行した。第一に、文献研究として、日本の租税政策の歴史を理解するために、これまで収集してきた文献(大蔵省や財務省が刊行している年史等のほか、官僚等による回顧録、日本の財政社会学等の研究書など)の精読をすすめるとともに、さらに必要な文献収集などの検討をおこなった。また、新聞記事の調査としては、データベース検索が可能な範囲で、過去にさかのぼっての検索をおこなうなかで、当該年度は、全国紙の投書欄における「増税」や「減税」などに言及した投書の収集につとめることとし、まず1紙の検索と投書記事の収集を集中的におこない、その投書内容の経年的動向についての整理を試みた。第二に、経済理論に基づく分析としては、移転価格やearnings strippingなどの事例研究を進めるとともに、税理士や弁護士などの専門家の活動や海外系列子会社の活動のどのような点が個人や企業の納税行為に大きな影響を及ぼすのかについて明らかにした。第三に、心理・社会的要因の調査研究などについては、質問紙調査をおこなう体制を整えるために、さまざまな調整をはかることにつとめた。それと並行して、情報収集や研究会を通じて、質問紙の作成に向けた調査項目の検討をすすめた。情報収集としては、社会学の学会に参加して、参考になると思われる意識調査にかんする情報の収集をおこなうとともに、広く関連文献の検討をおこなった。以上の取り組みを通して、次年度における研究体制の整備をはかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
税務行政等の制度や歴史にかかわる文献研究、経済理論に基づく分析については、これまで継続的に取り組んでおり、理解を少しずつ深めつつある。また、心理的・社会的要因の調査研究については、日本国内での先行調査がきわめて少ないようであり、調査の実施に際して慎重な検討をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
税務行政等の制度や歴史にかかわる文献研究、経済理論に基づく分析を、次年度も引き続きおこなうこととしたい。なお、制度や理論的研究をすすめるときには、現在の社会情勢を必要に応じて適宜考慮するべきであると考えている。また、心理的・社会的要因の調査研究については、質問紙作成において慎重な準備と検討をおこなうとともに、調査の実施および結果の検討をおこなうこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に次の二点の理由から、次年度使用額が生じた。第一に、心理的・社会的要因の調査研究として、質問紙調査の検討に着手した際に、調査体制の整備や調整、具体的な検討などに時間がかかることとなった。第二に、データ整理など当初予定していた謝金に関連する業務について、外部委託の必要性がなく、また外部委託をした場合に作業効率などいくつかの点で不都合があると判断し、研究代表者および研究分担者で分担して作業を進めた。
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次年度使用額の使用計画 |
文献のほか、研究遂行に必要な物品を購入するための物品費が必要となる。ほか、心理的・社会的要因の調査研究などの遂行に際して、データ整理補助や翻訳、専門的知識提供等への謝金などの費用を要する。さらに、研究遂行に必要な情報収集等のための学会等への参加のほか、資料収集や調査実施のための旅費などの使用を予定している。
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