研究課題
2018年度は、これまでの文献研究などをふまえて、主に心理・社会的要因の調査研究をすすめた。大学生を対象にして、心理的特性と税負担意識についての質問紙調査を実施するとともに集計をおこない、その結果の検討をおこなった。質問紙は、基本的属性のほか、心理的特性として相互独立的―相互協調的自己感尺度の質問項目を用いたほか、社会的要因としては、財政社会学において注目されている項目のある国際比較調査の質問項目をいくつか用いて三本柱で作成した。その項目としては、日本についての、各種政策の政府責任の有無、現在の税負担認識、税務当局評価、大手企業評価、政府への信頼の有無、国民負担と社会福祉支出の関係などを用いた。集計結果のいくつかの傾向は次の通りであった。(1)16歳以上の幅広い年齢層を対象とした、先行する調査と比べて、20歳前後の若年齢層を対象とした本調査においては、日本の税金を高いと思う割合、これからの国民負担と社会福祉支出については低負担低福祉をよいと思う割合が大きい傾向がみられた。(2)他方、どちらの調査においても、政府への信頼の程度、税務当局の評価、大手企業の評価については、およそ同じ回答傾向がみられた。(3)このように前2点の傾向をもつ本調査の項目間の関連をみると、その心理的特性のちがいによって、政府の責任があるとする政策の種類にちがいがみられること、(4)政府への信頼感の有無は、現在の税負担認識に関連がみられることなどが確認された。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件)
M. Hosoe, I. Kim, M. Yabuta, W. Lee eds., Applied Analysis od Growth, Trade, and Public Policy., Springer
巻: 1 ページ: 161, 170