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2014 年度 実施状況報告書

紛争後国における社会関係資本の実証的研究-カンボジアと東ティモールの比較分析

研究課題

研究課題/領域番号 26380652
研究機関専修大学

研究代表者

稲田 十一  専修大学, 経済学部, 教授 (50223219)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード社会関係資本 / 紛争後国 / 東ティモール / カンボジア / アンケート調査
研究実績の概要

東ティモールにおける社会関係資本の実態を実証的に把握する上で最も重要なのが、東ティモールでの統計的に有意な規模の体系的なアンケート調査の実施である。
平成26年度にアンケート調査を実施した対象地域は、マナツト(Manatuto)県、アイレウ(Aileu)県、リキサ(Liquica)県の3箇所である。マナツト県については、①海に近い地域、②山の地域、③その中間、という三つの場所(すなわち順にUma Caduac、Batara、Manelimaの3地域)、アイレウ県については近接しているものの性格の異なる二つの地域(すなわちFaturasa、Fada Bloko)、リキサ県についてはDato地域を選択し、1地域につき30-50サンプルずつ、合計250のサンプルを抽出してアンケート表を配布・回収し、データを集計した。
上記のアンケート配布・回収作業にあたっては、東ティモールでこうした調査のノウハウを持つNGOであるRAEBIAに作業を依頼した。アンケート表の内容は事前にドラフトを作成し、2014年8月に東ティモールでの現地調査を実施して、RAEBIAとアンケート内容・手法の確認をする一方、アンケート対象地域でのテスト・ヒアリングを実施した。更に、同年10月から12月にかけて、上記アンケート配布・回収作業を実施し、2015年1-2月に集計作業を行った。
平成26年度末より、その集計データの分析作業を開始し、その研究成果の中間的なまとめは平成27年度になる予定である。
なお、上記の東ティモールでのアンケート調査作業と並行して、カンボジアでの社会関係資本に関連する文献調査や、同じく紛争後国として比較可能と考えられるいくつかの国、例えばアフリカのルワンダやモザンビークの社会関係資本に関連する文献調査や論文執筆等も、あわせて実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、カンボジアでの社会関係資本に関し、すでに実施したアンケートから得られた経験と教訓をもとに、東ティモールにおいても統計的に有意な規模でのアンケート調査を実施し、両国での調査結果を比較検討・分析することが重要な研究目的・作業であった。平成26年度に、計画どおり東ティモールでのアンケート・ヒアリング調査を実施し、現在、その結果を整理・分析している段階である。
その意味で、計画どおりに研究が進んでおり、初年度(平成26年度)の研究の進捗状況・達成度は、満足のいくものであったと考えている。

今後の研究の推進方策

平成26年度に実施した東ティモールでのアンケート・ヒアリング調査の結果を、過去に実施したカンボジアでのアンケート調査等と比較検討し、そこから何が言えるかを整理分析することが次の大きな作業となる。同じ紛争後の国づくりの事例として取り上げられることの多いカンボジアと東ティモールを対比させて、単に数値の違いだけではなく、その違いのその背景にあるさまざまな要因を分析し、これらの国の社会関係資本の特徴や共通性・相違点について、より一般的な知見、あるいはより詳細で深い知見を導くことをめざす。
また、東ティモールとカンボジアだけでなく、類似の紛争後国であるルワンダやモザンビークなどとも比較しながら、その社会変容の共通性・パターン等についても更に検討・分析を進める。
より具体的には、平成26年度に実施した、東ティモールでのアンケート調査の整理・分析作業と並行して、平成27年度中に、カンボジアで、より焦点を絞ったヒアリング調査を実施する予定である。この海外調査のための渡航費(航空運賃等)、滞在費(宿泊費等)、現地移動費(車輛借上代等)、等への支出を予定している。なお、カンボジアに加え、東ティモールでの追加調査、あるいは関連情報収集のための米国(アメリカ合衆国)での調査の可能性も、予算の枠内で検討している。
また、比較可能な紛争後国や社会関係資本・社会変容に関する文献調査のために必要な支出、資料収集や論文作成のために必要なIT機器および周辺機器のための支出、その他消耗品等の支出を予定している。また、研究会開催も計画しており、その場合、講師謝金等も必要となる。

次年度使用額が生じた理由

東ティモールでのアンケート調査作業(アンケート表の配布・回収・集計)を委託した東ティモールのNGOであるRAEBIAに対する謝金の支払は、2期にわかれており、集計作業そのものが完了した時点で第1期の送金がなされたものの、最終レポートの送付が遅れ、第2期の送金(3,000米ドル)が、平成26年度ではなく平成27年度にずれ込んだことが、最大の理由である。

次年度使用額の使用計画

上記のRAEBIAに対する第2期の送金(3,000米ドル=360,000円)を、平成27年度初頭に実施予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 「民主的開発国家」は可能か-紛争後の四カ国の経験-2014

    • 著者名/発表者名
      稲田十一
    • 雑誌名

      『国際開発研究』

      巻: 第23巻・第1号 ページ: 41-57

    • DOI

      ISSN 1342-3045

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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