研究課題/領域番号 |
26380656
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
湯浅 陽一 関東学院大学, 文学部, 教授 (80382571)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地方財政の持続可能性 / 高レベル放射性廃棄物 / 原子力発電所 |
研究実績の概要 |
青森県における調査を実施し、文献資料などと合わせ、むつ市・大間町・六ヶ所村・東通村の財政データを昭和40年代より収集した。これらの自治体は、いずれも、原子力関連施設を抱えている。本研究の研究目的および研究実施計画では、原子力も含めたエネルギー政策に関連の深い自治体において、原発等の施設を受け入れるなどして特定のエネルギー産業への依存を深めたことが、当該自治体の財政の持続可能性に与える影響について分析することを主要課題の1つとして位置づけている。今回収集したデータは、その分析のための資料となる。合わせて、2014年度中は、日英両国における高レベル放射性廃棄物処理施設の建設に関するデータを、文献情報を中心に収集した。両国とも、使用済み核燃料ないしはガラス固化体という高レベル放射性廃棄物をすでに抱えており、なんらかの施設の建設は不可欠である。にもかかわらず、他の多くの国々と同様に、立地地点探しが難航しており、2014年時点では、具体的な目途が立っていない。この立地地点探しにおいては、原発と同様、地域経済や地元自治体の財政に対して巨額の利益を還元する手法がとられている。日本と英国では地方財政制度が異なっており、自治体財政への影響が大きい日本と、そうした効果が限定的な英国という相違がある。こうした制度上の相違をふまえた比較も、本研究計画における課題の1つであることから、調査にあたっては、これまでの研究の蓄積も活用しながら、地方財政制度に関する情報も収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年度において、英国での在外研究を行ったため、英国滞在が決定する前に実施予定となっていた研究計画の一部を2014年度に繰り越して実施している。本研究計画は2014年度の開始であり、研究実施者の英国滞在期間とは重複していないが、繰り越された研究の遂行を優先したため、本研究計画の遂行にやや遅れが生じている。繰り越された研究は2014年度をもって終了している。2015年度以降は、研究を円滑に進め、当初の計画に基づいた研究が実施できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に変更はない。青森県むつ市・六ヶ所村・東通村等、原子力発電所や放射性廃棄物関連施設を有しているなど、原子力政策に関わりの深い自治体を対象に、現地での調査を実施する。財政データの収集に合わせ、自治体の財政や産業振興部局の担当者などの関係者に対するインタビューを実施し、分析に必要なデータを得る。自治体財政を持続可能なものとするために、これらに施設による財政・経済効果と地域社会とがいかなる関係を構築すべきかが、分析の焦点となる。旧産炭地および英国での調査も引き続き実施し、比較分析のために必要な情報を収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況においても言及しているように、2013年度に英国での在外研究を実施したことにより、在外研究の決定前に実施が確定していた研究計画の一部を、2014年度に繰り越して実施した。本研究計画は、研究実施者の英国滞在期間とは重複していないが、2014年度中は繰り越された研究の遂行を優先したため、本研究計画の一部を2015年度において実施することとした。次年度使用額は、この繰り越された研究の遂行のための費用である。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の研究計画にもとづき、青森県むつ市・六ヶ所村等の原子力関連施設に関連の深い自治体や、旧産炭地、英国での調査活動のための支出を中心に、関連備品(書籍を含む)購入費や資料収集費などとして使用する。
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