研究課題/領域番号 |
26380657
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
尾嶋 史章 同志社大学, 社会学部, 教授 (30177224)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教育の経済的効用 / コーホート比較 / 所得関数 / 生涯所得 |
研究実績の概要 |
2015年度は、以下の3点に関して研究を進めた。 (1) 教育の経済的効用に関するコーホート比較モデルの検討・・・教育の経済的効用に関して、コーホート比較を行うための分析方法を検討した。まず異なる時点の年収を、消費者物価指数で調整し、それをもとにコーホートごとに所得関数を求める。それを用いて学歴別生涯所得を推定し、学歴別の生涯所得の違いからその経済的効用を求める方法を用いることとした。 (2) 教育の経済的効用に関するコーホート比較分析・・・「社会階層と社会移動」(SSM)全国調査データのうち、各時点の男性データをプールして、それをもとに義務教育ならびに中等教育と比較した高等教育の所得に及ぼす効果の分析を上記の方法を用いて行った。その結果、1950年以前生まれのコーホートで、高等教育の効果が大きく、高度経済成長期における就業経験の有無が学歴の効果に違いを生んでいる可能性が示唆された。なお、その成果を、2015年8月フィラデルフィアで開催された国際社会学会(ISA/RC28)においてEconomic Return to Education in Japan: New Approach using Pooled Replicated Survey Dataと題して報告した。 (3)分析データの整備・・・教育の経済的効用に関して、コーホート比較をより厳密に進めるためにデータアーカイブに寄託されたデータのこの分析への適用可能性について調査を行い、1987年から2010年の間に実施された23の全国調査データが同様の方法で分析可能であることが確認できた。SSM調査との調査間隔の違いなども考慮しつつ、追加データを選択し、上記の結果の妥当性を今後検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的な部分に関しては、2005年までの「社会階層と社会移動」全国調査データでカバーできているが、細部に関しては他のデータも参照しつつ進める必要がある。その点での改善は必要である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、昨年度調査したデータアーカイブのデータならびに官庁統計データを参照して、昨年度学会で報告した結果の妥当性について検討しつつ、戦後における教育の経済的効用に関して結果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度末に渡仏し、研究協力者から今回のモデルに関する助言を得る予定であったが、日程の関係から断念した。繰越が生じたのは主としてこれが原因となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
早速、年度初めに渡仏し、この繰越部分の多くを執行する予定である。
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