| 研究課題/領域番号 |
26380658
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| 研究機関 | 立命館大学 |
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研究代表者 |
中井 美樹 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (00241282)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 社会調査データの分析 / ランダム行列理論 / 共分散行列 / 欠損値データの処理 |
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| 研究実績の概要 |
本プロジェクト3年目の平成28年度には、主に3つの課題を柱に研究に取り組み成果をあげた。第一の成果は、社会調査データでは避けられない欠損値問題にかんして、従来の慣例的手法や議論（Little and Rubin 2002, Allison 2001 ほか）を再検討したうえで、行列に基づく新たなアイデアを欠測のある社会調査データに応用した。これは、既に本研究課題の成果として2015年に発表した論文の段階で課題として残されていた点への取り組みである。まず最も簡単な対処法であるリストワイズ削除に行列理論を応用する可能性について検討し、欠測パターン行列の適用と制約付き最適化による方法の応用に取り組んだ。第二に、より新しい社会調査データの分析に本研究課題で提案する手法を応用した。既に2005年SSM調査データの分析に応用し、2015年度に国際学会において発表した。これを発展させた研究成果は論文としてまとめ投稿中である。加えて、今年度は幾何学的手法を欠損値処理への対処にも応用・発展させ、「階層と社会意識全国調査（SSP2015)」の分析に応用した。第三に、非階層非対称クラスター分析を社会学データに応用し、より有意義な知見を導くための分析手法の望ましい適用に取り組んだ。具体的には、関係が非対称である現象の分析手法である新たなクラスター分析手法を社会学的データの分析に応用した。非対称クラスター分析を用いた分析結果を、クラスター分析法と同様にいわゆる外的基準を持たない手法に位置づけられる多次元尺度構成法を応用してデータに潜む情報を表現した結果と比較し、併用が推奨されるこれらの手法から共通に得られる知見と個別に得られる知見があることを明らかにし、それぞれの手法の特徴を示した。この研究での知見は論文（英語）としてまとめ成果発表を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標としていた課題、(1)昨年度に提案したランダム行列理論にもとづくデータ分析手法の、大規模社会調査データセットへの応用、(2)国際学会での成果の発表内容を発展させて論文にまとめること、(3)欠損値を含む社会調査データ（欠測データ、不完全データ）にかんする残された課題への対処手法についての検討、のいずれについても成果をあげることができた。研究実績の概要に示したように、2015年の国際学会における成果報告の場で得られたフィードバックを反映させて研究を発展させ、論文としても成果の還元を行うことができた。また、学会報告時に得た情報をもとに研究を深化させ、高性能のパソコンおよびストレージを購入してPCの環境を整備し「欠測値を含む調査データ」の追加的な分析を進めた。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、前年度において研究課題の目的をより精緻に達成するために実施した「欠測値を含む調査データ」の追加的な分析について引き続き取り組み、実際の社会学データに適用し、欠測メカニズムに留意してさらにモデルを発展させる。またその成果をまとめて国際学会において発表を行う予定である。加えて、研究成果のより積極的な公開と還元を目指し、提案する新たな手法を実行できるようR のパッケージ化を計画している。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
研究３年度目も引き続き海外(米国)の共同研究者の協力を得ながら、年２～３回の研究会を開催し連携を積極的に進めながら研究推進を行う予定であったところ、研究代表者が2016年度前期（2016年9月まで）は学外研究を得て米国に滞在できることとなり、研究会のために当初予定していた日本－米国間の海外出張のための出張旅費を大幅に節約することにつながった。加えて、米国滞在中は滞在先大学図書館等の豊富な資料を効果的に活用でき当初計画を効率的に進めた結果、研究費を節約することができた。その点以外は、ほぼ予定通りに予算を執行した。
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、前年度において補助事業の目的をより精緻に達成するために実施した「欠測値を含む調査データ」の追加的な分析について、その成果をまとめ国際学会において発表を行う予定である。したがって平成28年度未執行額は、研究期間を延長した平成29年度に使用する予定である。平成29年度を最終年度として研究目的を達成し完了するため、研究打合せ旅費および成果発表のための旅費を計上している。
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