研究課題/領域番号 |
26380659
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
中野 康人 関西学院大学, 社会学部, 教授 (50319927)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネパール / 相対的剥奪 / カースト / 計量社会学 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「相対的剥奪」が社会における「主観的幸福」や「不満」そして様々な「社会的な行動」に与える影響を実証的に明らかにすることにある。 平成27年度は、前年度の準備をふまえて、ネパールにおいて800人規模の調査票調査を実施し、同時に日本においても800人規模のネット調査を実施することを予定していた。しかしながら、4月末に発生した大地震とその後の現地の政治的混乱による治安の悪化に伴い、研究計画の変更を余儀なくされた。結果として、予定してた調査票調査の実施は延期し、二回の現地調査によって状況の確認と政府高官や現地コミュニティへのインタビュー調査を実施した。
第一回目の現地調査では、現地での調査体制や調査候補地点の被災状況の確認をおこなった。また、現在制定過程にあるネパール新憲法において、martinalizedな集団(カーストや民族など)がどのような位置付けになるのか、その理念と制度について政府高官へのインタビューをおこない、調査協力を求めた。7月時点で、カトマンズ盆地周辺の多くは日常生活を取り戻しているものの、被災状況が深刻な一部地域は、未だに再建のめどもたたず、通常の社会調査が行われる状態にはないことがわかった。年度内の調査実施の可否、地点の変更も含めて今後の検討課題である。新憲法では、「平等」と「地方分権」が大きな理念となっているが、地方から中央への政策立案・予算策定の段階において結局はマイノリティが阻害される制度になっている指摘を受けた。
二回目の現地調査では、震災後のタライ地区の政治的混乱を鑑み、第二次調査の実施地点候補としてカンドバリ(サンクアサバ県)を選び、予備調査(コミュニティリーダーへのインタビューとデータ収集)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していたネパールにおける現地調査は、大地震による影響で予定期間内での現地調査員の確保が困難であったため、実施を延期した。
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今後の研究の推進方策 |
現地の政情および生活状況の推移をみまもりながら、調査地点・方法の変更もふくめて、次年度での実施を計画中である。 調査実施と並行して、次年度は研究期間最終年であるので、これまでの予備調査の結果をまとめながら、国際学会での研究報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査票調査を実施予定であったが、2015年4月に現地で発生した地震災害の影響で、夏の段階で調査員の確保が困難となったこと。また、その後も調査予定地であったタライ地区で政治的緊張が高まり治安が悪化したため、年度末までに大規模な調査票調査を実施することができなかった。そのため、調査のための人件費などに未執行額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度に計画していた調査票調査は、すべて2016年度中に実施し、未執行分は使用される。
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