研究課題/領域番号 |
26380660
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
河野 仁 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 人文社会科学群, 教授 (80531764)
|
研究分担者 |
佐藤 文香 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (10367667)
永岑 光恵 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (80392455)
福浦 厚子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (90283548)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 家族支援 / 陸上自衛隊 / 大規模災害 / 安否確認 / 信頼関係 / 地域支援力 / 自助 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで日本では学術研究の対象とされなかった「大規模災害時等の自衛官家族に対する社会的支援」の現状と課題を学際的かつ実証的に明らかにすることを目的として実施した。 まず、家族支援の現状を把握するため、自衛官とその家族(配偶者・親)に対する面接調査を実施した。その結果、南スーダンなどの国連PKO活動や東日本大震災時の長期災害派遣などを経験した家族などでは、家族支援のニーズが比較的高く、特に、大規模災害時等における家族の安否確認体制の整備を陸上自衛隊が推進しようとしていることに賛同する意見が多い反面、隊友会や自衛隊父兄会(現・自衛隊家族会)など個人的な信頼関係が築かれていない人物と家族成員に関する個人情報を共有することへの不安も強いことが判明した。さらに、家族の急病等により支援が必要な場合には、まず両親、次に親しい友人(ママ友)に頼ることが多く、自衛隊組織等からの公的支援を期待する声は少なかった。 つぎに、面接調査と同じ15カ所の陸上自衛隊駐屯地において自衛官家族に対する質問紙調査を実施した(有効回答1880:回収率94%)。その結果、回答者の9割以上が「家族支援の重要性」を認識しており、これまで「家族支援の必要性を感じた」ことがあった者が約半数いたことが明らかになった。他方、陸上自衛隊における家族支援体制が「整備されている」と考える者は約5割にとどまり、「整備が進んでいない」と考える者も3割弱いることが判明した。また、最も必要な家族支援策は、「災害時家族の安否確認」「国際活動中の情報提供・通信支援」「国際活動時の家族説明会」であるものの、最も信頼し、支援について相談するのは圧倒的に「同居していない家族」であることも改めて確認された。 結局、家族支援の現状は依然として「自助」中心であり、「地域支援力」構築にはまだまだ課題が多く残されていることが判明した。
|
備考 |
2018年7月、トロントで国際社会学会が開催する”World Congress of Sociology”において、河野が「Military Families, Care and Resilience」(RC01 Armed Forces and Conflict Resolution: Regular Session)と題する部会の共同司会を務め、口頭報告も行う予定である(RC01部会承認済)。
|