ケアにかかわるボランティア行為者の活動種類は多様化しており、また活躍する場も次第に増えている。その活動のなかには近年目を見張るものがある。その一方で病院や施設に設置されたボランティア組織のあり方には、様ざまな問題と課題がある。最終年度においてはとくに、医療や福祉施設の現場で、ボランティア行為者の活力はどのような形で位置づけられているのかに焦点を当ててみてきた。国家・行政によるボランティア動員の矛盾のなかで、日本におけるボランティア組織の地位は、その社会的評価とは裏腹に現実には必ずしも高くない。ボランティア行為者がケアにかかわることで、これまで専従スタッフからは提案されることのなかった新たなサービスが発案され実施されることもある。また、最終年度では、広く医療や福祉にかかわるボランティアの日加比較をテーマとした。とくに終末期医療にかかわるボランティア、慢性期の施設で活動するボランティアなど、病める人・死にゆく人と寄り添う人の関係性に焦点をあてた議論について、カナダオンタリオ州ウインザー大学からMaria Giannotti氏をH28年10月開催の日本社会学会のテーマセッションのなかでおこなった。企画したテーマセッションのタイトルは「医療と福祉のボランティア:病める人・死にゆく人と寄り添う人の社会学」である現在、これらの議論の出版化を準備しているところである。 その他の本研究にかかわる学会報告は以下のとおりである。 「終末期医療のボランティア」第64回関東社会学会大会(上智大学)H28年6月 ”Possibility of Developing Volunteers’ Activities in Medical System”The 14th East Asian Sociologists Network Conference H28年11月
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